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precious

ここまで読んでくださった方には今更ですが、とっても甘い直樹です。
ご注意ください。(甘い直樹に・・・。)




「入江くん、おはよう!よく眠れた?」


 リビングの扉を開けたと同時に香ばしい香りが鼻をくすぐる。
 広いリビングには誰も居らず、エプロンに三角巾という珍しい格好をした琴子がキッチンに居るだけだった。

 イスに座ると同時にコーヒーとトースト、そして目玉焼きとウインナーの乗った皿が置かれた。
 そして、おれの向かいにカフェオレを持って琴子が座った。


 「今日は珍しくスムーズに出てきたな。」

 「うん。用意したら入江くんを起こしに行こうと思ってて。そしたら入江くんが起きてきたの。」

 「ふぅん。」


 珍しく焦げていない朝食を頬ばる。
 おふくろ達はすでに各用事で出払っていて、広い家にいるのはおれと琴子の二人だけ。
 庭には洗濯物が干されてて真っ白いタオルが風になびいている。
 リビングのカーテンは風に揺られていて気持ちいい風が運ばれてきている。
 TVもついていない部屋は静かで、おれが使っているフォークの音と外から聞こえる子供の声が聞こえてくるだけだった。




 「ふふ・・・」


 突然笑い出した琴子におれは何だよという意味を含めて視線を送る。
 それに気づいた琴子はマグカップを握ったまま「あのね」と続けた。


 「なんか・・・すごく穏やかなのがくすぐったくって。」


 そう言う琴子の顔もとても穏やかだ。


 「朝食を摂る時間に二人っきりってあんまりないから新鮮で。入江くんの朝ご飯も失敗しなかったし。なんか気持ちがゆったりしてて幸せだなぁ~って。」

 「そうかもな。」

 「うん、そうなの。」


 幸せそうにカフェオレを飲んでいる琴子を見ながらおれもコーヒーを含む。
 今日の琴子はその幸せを噛みしめているように無口だ。
 それが気まずいかと言えば全く違っていて、特に会話がなくても心が満たされていく感じがする。

 カフェオレを飲みながら庭を見ている琴子。

 その何でもない普通の姿をおれは綺麗だと思った。 
 そんな琴子に見とれていたのか琴子の呼ぶ声に我に返った。


 「入江くんは、今日も書斎でお勉強?」

 「ん?ああ。そのつもり。」


 そう答えると「そっか。」と笑っている。
 二人しかいない家。
 おれが書斎に籠もれば琴子は一人になってしまう。
 いつもならおふくろが居るから気にもしなかったが・・・。
 少し寂しげな表情の琴子におれの胸がチクリと痛んだ。


 「・・・いくか?」

 「・・・え?」

 「今日はいい天気だから、外行くか?」


 日頃、口にしないおれの誘いに驚いてかボーーっと固まっている。


 「・・・嫌ならいいけど。」

 「え?そんなことない! 行きたいっ!絶対に行くよぉ!!」


 顔をブンブン振り回したあと、くらぁっと目を回してる琴子。
 ぶっ 本当見てて飽きない可愛い奴。
 緩みそうな口をコーヒーカップで隠し、言葉を続ける。


 「おれ、用意してくるから何処行くか考えておけよ。」

 「あっ 待ってあたしも着替えてくる! 入江くんとデートだもん!」

 
 琴子は立ち上がり、バタバタと寝室へかけあがっていった。





※  ※  ※  ※  ※  ※  ※





 「入江く~ん!! 早く~!」


 おれの腕を引っ張りながら小走りする琴子。
 けれど戻ってきて走ろうとしないおれにピッタリとくっついて えへへ。と笑っている。

 おれ達は公園に来ている。
 街の方へ買い物とか言うかと思ったら、琴子の希望は公園だった。


 「う~ん、気持ちいいな♪」


 芝生の上に座って伸びをする。
 おれも琴子の隣に座った。


 「お前、本当にここで良かったのか?」


 もう一度、琴子に聞いてみる。


 「うん。入江くん最近お疲れだったでしょう?家だと入江くん本ばっかり読んでるから休んでる感じしないし、街へ行ったら人がいっぱいでまた疲れちゃうでしょう?公園だったら緑いっぱいで静かだし、休めるかなぁって思ったの。」


 家から持ってきたコーヒーをカップに注ぎおれに渡してきた。
 その顔はニコニコと嬉しそうだ。


 「おれはお前の行きたいところで良かったのに。」

 「あたしは入江くんがリフレッシュ出来るところに行きたかったの。」

 「・・・お前。」


 おれは隣に座っている琴子をぎゅっと引き寄せた。
 心が温かくなって琴子が愛おしくて仕方ない気持ちが溢れる。
 思いっきり抱きしめて琴子を感じたい。
 そんな衝動に駆られる。

 そんな事思っているなんて知らない琴子は「あのね、あのね」といつもの様に話しかけてくる。
 表情豊かでくるくると変わる琴子。


 「あっ入江くん! 今の話面白かった?」

 「え?」

 「だって入江くん、すごく楽しそうっていうか優しい顔してた。」


 下からおれの顔を覗き込んでくる。
 大きな目をキラキラさせて。

 至近距離にある琴子の顔を両手で包んで ちゅっ とキスをした。
 柔らかい唇に優しく、壊れないようにそっと。

 
 「そうだな。琴子が居るから、かな。」


 鼻同士をくっつけてポツリと呟くと、琴子はふふっと笑った。
 おれもつられて口を綻ばせてしまった。


 「あたしも入江くんと居られて、嬉しくって、楽しくって、幸せ。」


 おれの背中に手を回して胸にすっぽりと入って抱きついてくる。
 いつもなら公衆の面前でされようもんなら思いっきり振り払ってやるんだけど。

 おれ、さっき琴子きキスしちゃったし。
 琴子のこととやかく言えねぇし。

 でも、今日はいつも以上に琴子が可愛くて愛しくて堪らないんだよな。
 おれは琴子をぎゅっと抱きしめかえす。
 おれの胸にすりすりして笑っている琴子。


 「後でどこか買い物へ行こうか。」

 「入江くん!?」

 「おれはもうリフレッシュ出来たからな。」


 胸の中の琴子に話しかけるとモゾモゾ動いて上目遣いでチラリと見つめてきた。

 ・・・ヤバイ。可愛すぎるかも・・・。


 「えっと・・・じゃあ、入江くんに服選んでほしいな。」

 「いいよ。」

 「あ・・・あとね・・・」

 「ん?」

 「あたしと入江くんは夫婦でラブラブなんですぅ~って周りにアピールしたいっていうか・・・あの・・・。」

 「・・・。」

 「手をつないで歩きたい。」


 おれってすごく冷たい奴なんだな。
 なんて珍しく思っちまった。
 ってか、ここに来るまで腕組んで来たんだけど。
 「了解」と答えると、更に目を見開いて「きゃあ」と飛びついてきた。

 おれは琴子を抱えたまま立ち上がり、すとんっと地面に降ろし立たせた。


 「では、参りますか。奥さん。」


 琴子の前にすっと手を差し出す。
 差し出された手をじぃっと見つめて、琴子はニッコリ笑う。


 「はいっ 旦那様。」


 指を絡ませて、ぎゅっと手を繋ぐ。
 それは琴子が憧れているカップル繋ぎというものらしい。
 手を繋いで歩くだけで幸せそうに歩く琴子に更に愛しさを感じ、おれ達は公園をあとにした――――。
 

                                         《END》

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