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ハッピー スマイル 〈後〉

後編です☆



*  *  *  *  *  *






 しばらく入江と世間話をしていると入江の膝で眠っていた琴子ちゃんが起きようとしていた。


 「琴子?起きたのか?」


 顔にかかった髪をどけながら琴子ちゃんに話しかけている。

 入江ってこんな優しい声、出せるんだな。

 琴子ちゃんは自分がどこで寝ていたか分かってくると真っ赤な顔をして飛び起きた。



 「ご、ごめんね!! ま、まさか入江くんの膝枕で寝ちゃうなんて///」

 「寝相の悪いおまえを大人しくさせるにはこれが一番良かっただけだ。」

 「そ、そうなの・・・。 でもありがとう。 シャツも掛けてくれたんだね。実はちょっと寒いなぁって思ってたの。」

 「ったく。だから出掛け際に忠告してやっただろうが。」

 
 素っ気ない態度取ってるけど・・・。入江。
 俺はちゃ~んと見てたんだからな。
 
 酔ってウトウトしてきた琴子ちゃんが倒れないようにさりげな~く自分に寄りかからせて少しず~つ膝枕になるように寝かせていた事を。

 ミニスカートで素足の琴子ちゃんの足を誰にも見せたくないと言わんばかりに自分のシャツを足元に掛けてやっていた事も。
 確かに琴子ちゃんの足、キレイだもんな。
 高校の時何気に人気だったし。

 それから、琴子ちゃんが酔い潰れることを前提に座敷のある居酒屋にした事も、壁際に琴子ちゃんを座らせた事も。

  全部、琴子ちゃんを一番に考えていたんだろうな。


 そんな入江の気遣いにおそらく気づいていないであろう琴子ちゃんは、入江のシャツをきてニコニコしている。
 そして入江がさりげなく頼んだホットウーロンを大事そうに両手で持ってチビチビと飲んでいた。


 「酔いが覚めたら帰るぞ。」

 「あ、うん。 でもその前に抹茶アイスが食べたいな。」

 「お前、寒いんじゃなかったのかよ。」

 「大丈夫よ。入江くんがシャツ貸してくれてるし。それにデザートは別腹だもの!!」

 「ハラ壊したってしらねーぞ。」

 
 とか言いつつも店員捕まえて頼んでるし。
 お前・・・。すっごい甘いよな。
 俺も注文ついでに〆のお茶漬けを頼んだ。


 「ん~/// おいしい♪」


 嬉しそうにアイスをほおばる琴子ちゃんは本当に表情豊かだな。
 入江も頬杖をついて琴子ちゃんを見ている。


 「女は別腹って言いながら甘いもん食うっていうけど本当なんだな。」

 「はい。入江くんもどうぞ。抹茶アイスだから食べられるよ。」

 
 ずいっと入江の前に差し出されたスプーン。
 いらないと言っているのに「大丈夫」って押しまくっている。
 この押しは琴子ちゃん以外出来ないだろうな。
 
 あんまりしつこいもんだから、入江は諦めて口を開ける。
 そこに琴子ちゃんはポイっとアイスを放り込んだ。

 どう?って言わんばかりの琴子ちゃんは入江の反応を待っている。

 
 「・・・甘い。」

 「これでも甘いなんて・・・。入江くんが食べられる甘いモノって何だろうね。」


 琴子ちゃんが呟いた言葉に俺はある出来事を思い出した。
 それは俺にとって衝撃的な出来事の一つだったから。


 「入江はね、琴子ちゃんが作ったモノなら何でも食べてくれるんじゃないの?」

 
 俺がそう言うと、目の前にいる2人はきょとんとした顔でこっちを見た。
 ほぼ同じタイミングで・・・。  ぶっ。


 「そうなの。入江くんって昔から失敗しちゃったご飯とか、スイーツとか、文句言いつつも食べてくれて・・・。 入江くんが話したの?」

 「してねーよ。」


 眉間に皺をよせて俺を見ている。
 そう俺は入江から聞き出した事もないし、噂で聞いたこともない。
 
 そうか。もうあの時からずっとそうだったんだな。


 「甘い物苦手なのに、琴子ちゃんの手作りなら何でも食べる。それが、食べかけの固くてカリカリのクッキーの様なマドレーヌでもね。」


 俺がそう言うと入江は思い出したようで「ああ」とだけ言った。
 琴子ちゃんは、しばらく考えてからやっと思い出した様だった。


 「食べかけって・・・。あの時のあたしの食べかけ、入江くんが食べたの?」

 「・・・捨てて良かったのか?」

 「ううん・・・。ありがとう。美味しかった?」

 「感想を聞きたければ完璧な物を作ってからにしてくれよ。」

 「・・・イジワル。」

 
 ぷぅ。と頬を膨らませている琴子ちゃんに入江は琴子ちゃんの口の端についてるアイスを指で拭うとペロっとそれを舐めている。
 琴子ちゃんは真っ赤だけど、入江にしてみるとそれが普通の仕草なんだろうな。

 
 「あぁ・・・口の中が甘ったるい。」

 「じゃあ 何か食べたら?渡辺さんみたいにお茶漬けとか。」

 「コーヒー。」

 「入江。居酒屋にコーヒーなんて・・・」

 「琴子の淹れたコーヒーが飲みたい。」

 「・・・入江くん。」

 「だからほら、早く食えよ。」

 「う、うん。」


 そう言うと琴子ちゃんは黙って食べ始めた。下を向いて黙々と。

 嬉しかったろうな。今の入江の一言。
 琴子ちゃん。君は入江と幸せにならなきゃいけない。
 その資格は十分にあるんだよ。
 ずいぶん前から。


 「なに泣いてんだ。」

 「だってぇ。」

 「ほら・・・ こぼれるぞ。」

 
 そう。なんだかんだ文句言いつつも、ずっと琴子ちゃんを誰よりも見てきた入江。



 もし琴子ちゃんと出会わなかったら。
   琴子ちゃんがラブレターを書かなかったら。



 入江はどんな人生を歩んできたのだろう。
 それはあんまり考えたくないな。

 相変わらずモテるんだろうけど。

 入江が店に入ってきてから、周りの女の子達がずっと入江に視線をやったりヒソヒソ話したり。
 入江は気づかないのか?ってくらい普通だろけど、琴子ちゃんは気が気でないだろうな。
 今までも、そしてこれからも。

 でも大丈夫。それだけ堂々とイチャついていたら寄りつく奴もいないから。

 ホンッと入江ってどこまで計算しているか分かんないよな。

 でも俺は、この2人のこの姿を昔からずっと願って望んでいたんだ。

 俺は、結婚式の出欠葉書に○を付けて入江に差し出した。


 「渡しておくよ。もう行くって言ったんだし。」


 入江は黙ってそれを受け取った。


 「入江。絶対幸せにするんだぞ。琴子ちゃんの今までの努力の分まで。」

 「あぁ・・・。分かってる。」

 
 
 「本当にお前達はお似合いだよ!」



 そう言うと、2人は顔を見合わせたあと

 
 
 「「ありがとう。」」



 と、言った。

 その姿は本当に幸せそうで、あったかくて。



*  *  *  *  *  *



 店の前で別れた後、俺はしばらく2人の後ろ姿を見守る。
 2人で並んで歩く姿。
 
 酔っている琴子ちゃんを支えながら歩く入江。
 幸せそうに入江の袖を掴んでいる琴子ちゃん。



 ありがとう琴子ちゃん。

 入江を変えてくれて。

 入江を幸せにしてくれて。

 入江に夢を与えてくれて。

 俺の親友を好きになってくれて。



 次に会うときは、もっと幸せな顔をしているに違いない。
 親友の幸せがこんなに嬉しいものだったなんて。
 きっとこれを教えてくれたのも琴子ちゃんだ。


 「2人の幸せが永遠に続きますように。」


 俺は珍しく見える東京の星に願いを捧げた。

                               《END》
  

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拍手お礼

まあち さま。
 
沢山のお話に拍手コメントありがとうございました。
たくさんお褒めいただき光栄でございます。

まあちさんのコメントを読んでなるほど!と思うところがたくさんありました。ありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。

拍手お礼。

Foxさま。

 拍手コメントありがとうございます(*^_^*)
 高校時代を見てきた渡辺君目線です。
 入江くんが変わっていくのを一番身近に見てきた彼ですから、誰よりも嬉しかったと思いながら書きました。
 やっとの思いで通じ合った2人の幸せ感が伝わって嬉しく思います(*^_^*)

ひたし豆さま。

こんにちは☆

初めまして♪拍手コメントありがとうございます♪

わぁぁ 初期の作品を読んでくださってるんですね~。
原作からのファンの方にどこまで受け入れてくださるか不安ですが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです!
きっと過去から読み進めていくと作品の方向がおかしな事になっていくと思うのですが見捨てないでくださいね(笑)

これからもよろしくお願いします♪


渡辺くん

narackさま、ハッピースマイル大好きです。
渡辺くんいい人ですね。
人柄がすごく好きです。
渡辺君も琴子のような人が現れるといいな~って
思いました。

Re: じぇぐんよんさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

初期のお話!!なんだか恥ずかしいです(^_^;)
渡辺くんって本当にいい人代表って感じですよね。そして入江くんの唯一の理解者。
きっと渡辺くんにも素敵な女の子が現れますよね!私もそう願っています♪
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