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ハッピー スマイル 〈前〉

このお話は「ナンダカンダ」の数年後のお話です。
  渡辺くん目線です。

投稿時では3話でしたが前後編にしてみました。 




―11月―
 俺は入江に呼ばれて居酒屋にいる。
 高校卒業してから会う機会が少なくなったから、久しぶりの入江の誘いは結構嬉しい。

 お通しをつまみながら5分くらい待っていると、扉が開いて入江がやってきた。 
 そして、入江の後ろには小さな影。


 「渡辺。悪いな、遅れて。」

 「いや、大丈夫だよ。久しぶりだな入江。琴子ちゃんも久しぶり。」

 「渡辺さんも、元気そうだね。」


 入江の袖を掴んでニコニコ話す琴子ちゃんは高校の時と変わらず可愛い子だなって思う。

 入江と琴子ちゃんは俺の前に座る。
 壁側が琴子ちゃんで通路側が入江。
 とりあえず、俺達はアルコールを頼んだ。
 俺と入江は生ビールで琴子ちゃんは桃のサワー。


 「琴子。あんまり飲み過ぎるなよ。」

 「んもう。いいじゃない。酔ったら入江くんがおんぶして帰ってくれるも~ん。」

 「おれは間違いなく置いて帰る。」


 座った途端に始まる言い合いが懐かしくて思わず笑みがこぼれる。


 「そういえば珍しいな。入江が琴子ちゃんを連れてくるなんて。」


 そう。
 今日は入江と2人で飲む約束だった。
 けれど今回は琴子ちゃん付き。
 行く直前に「あたしも連れてって」なんてお願いでもされたのかな。
 でも俺も琴子ちゃんに久しぶりに会いたいと思っていたから嬉しいんだけど。
 入江は「まーな。」とだけ言った。



 「「「カンパーーーイ!」」」



 ジョッキとグラスを カチン☆と当てた後、喉の渇きをうるおす様に3人共一気に飲む。
 やっぱり一杯目のビールは美味い。


 「このお酒甘くて美味しいよ~。入江く~ん。」

 「そりゃ桃だかんな。そんなの酒のうちに入らねぇ。」

 「ほら~、飲んでみてよ~。ね。おいしいから~。」

 「おまっ・・・ 空腹にアルコール一気飲みするなよ!・・・もう手遅れか。」


 はぁ・・・と入江は溜め息をついた後、琴子ちゃんが押しつけてくる桃のサワーを受け取り、飲み干した。


 「あぁっ 全部飲んじゃったぁ~ あたしの桃のサワー。」

 「全部ってそんなになかったじゃねぇかよ。」

 「うぅ・・・。あたしの桃・・・。」

 「・・・もう酔ってんな・・・。」


 目をウルウルさせている琴子ちゃんの頭をポンポンしながら入江は店員を呼びサワーを注文している。


 ・・・何だか俺、邪魔だよな。
 何だろう・・・2人から発している甘ったる~い感じは・・・。


 「そういえば、今日はどんな用件だったんだ?」


 俺は、今回の飲み会の主旨を尋ねた。
 すると入江は「ああ。」と言うと鞄から一枚の真っ白な封筒を差し出した。


 「急で悪いけど。」


 ちょっと不機嫌・・・な様子の入江と恥ずかしそうだけど満面の笑みの琴子ちゃん。

 俺は封筒を手に取ると裏面を見る。
 そこには『入江重樹』『相原重雄』と連名で書かれてる。


 ――ってことは・・・。


 「もしかして・・・。」

 「・・・そういう事だ。」


 入江は少し笑ったような顔をしている。琴子ちゃんは言うまでもない。
 俺は封筒を開けて中身を読む。

 ん? 日取りは・・・11月21日!?ってかもう2週間きってる・・・。


 「えらい急だなぁ・・・。」


 俺は思わず呟く。


 「おれ的には、コイツが大学卒業してからって思ってたんだけど。」

 「・・・だけど?」

 「お袋がな・・・。」


 はぁっと盛大な溜め息をついた後、入江はビールを口にした。


 「卒業って、入江も大学生だろ?もしかして飛び級したとか?」


 俺は一つの疑問をぶつけた。
 同い年なんだから入江も大学生の筈なのに、琴子ちゃんだけが大学行ってるような言い方をしたから。
 すると入江は「ちょっと長くなるけど」とポツリ、ポツリと話し始めた。






*  *  *  *  *  *





 「そっか・・・。そんな事が・・・。」


 俺は何とも言えない気分だった。
 そりゃあ、いつかはこの2人が伴侶になるとは思っていたけど、まさかこんな紆余曲折があったなんて。
 2人の事だからいつの間にか関係が縮こまって自然に・・・なんて思っていたのに。

 話の途中でウトウトしだした琴子ちゃんは入江の膝に頭を預けて眠っている。とっても幸せそうに。
 入江はというと自分の膝で寝ている琴子ちゃんの髪をゆっくりと梳いている。

 琴子ちゃんを見つめる入江の目は穏やかでとても優しい。


 「入江、良かったな。でも俺、高校の時から言ってただろ? 入江と琴子ちゃんはお似合いだって。いつかは結婚するって。」

 「まぁ・・・そうだな。」

 「あー良かった。眼鏡の度を変えなくて。眼科と脳外も受診しなくて良かったよ。」

 「渡辺、性格悪くなってないか?」


 入江は眉間に皺を寄せ、俺をにらみつけている。
 キレイな顔でにらまれれば誰もがたじろぐだろうが俺には全然通用しないんだからな。


 「違うよ。入江が変わったんだよ。気持ちが穏やかになってんだよ。」


 そう言うと入江はさっきより深く皺を寄せ、理解できないと言わんばかり。
 天才でも理解できないことがあるんだと思うと安心する。
 これも琴子ちゃんの影響だろうなー。

 
 「変わり始めたのは琴子ちゃんと同居し始めてからだよ。少しずつ少しずつ、入江は変わっていったんだよ。最初は琴子ちゃんだけに、そして今は周りの人たちに対しても。 あんなに無口で無表情だったのにな・・・。琴子ちゃんには感謝してもしきれないよな。」

 「渡辺・・・。」

 「やっと手に入れたんだろ?離すなよな。なかなか居ないよ。こんな一途で一生懸命想ってくれる子なんてさ。」

 「そうだよな。」


 入江は ふっと笑ってまた琴子ちゃんを見た。
  
  ほんと、幸せそうな顔だよな。


 「入江。本当におめでとう!結婚式、ぜひ出席させてもらうよ。幸せにな。」

 「あぁ。サンキュ。渡辺。」


 俺達は笑いながら冷たいビールで再度乾杯した。 






※  ※  ※  ※  ※
      後編に続きます。

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