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二人三脚

やっぱり入江くんには琴子がいないといけないですね(*^_^*)






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 日勤を終えたあたしは一人で家に帰る。
 1日の陽も長くなってきたから鳥目のあたしにはありがたい。
 バスから見える川の堤防の桜並木は所々色づいている――――。










 「ただいま。」


 家全体に聞こえるくらいの声で言ってみる。
 でも、誰からの返事はなかった。
 でも入江くんは先に帰っているはず。
 靴もあるし、窓から書斎の明かりが漏れていたし・・・。

 今日はパンダイのお仕事の関係でお義父さん、お義母さん、裕樹くんは食事会でお出かけ。お父さんは仕事。
 だから今夜は入江くんと外食してから帰るはずだった。
 あたしは、朝から・・・ううん、昨日の夜から嬉しくって楽しみで仕方がなかった。


 
 けれど。


 
 あたしは入江くんと一緒に帰らなかったし、食事もしていない。





 自分の荷物を置くために寝室へ行く。
 途中、書斎のドアを見るとドアの下からかすかに明かり見える。
 入江くんがドアの向こうにいるはずなのに、居ないみたいに静か。
 けれど、伝わってくる空気は・・・
 ・・・あたしはどうして良いか分からなかった―――。


 入江くんは何も悪くないんだよ。精一杯尽くしたもの。


 この言葉を掛けてあげたい。でも今入江くんが望んでいる言葉じゃない気がする。
 あたしは何も入江くんにしてあげられないのかな・・・って思うと少し悲しかった。










 入江くんが執刀した患者さんが亡くなった。

 
 5歳の女の子だった。
 4月から幼稚園に行くって凄く楽しみにしていたかわいい女の子。
 術後の経過も凄く良くて、順調にいけば4月の進級式にも間に合いそうだって入江くんも嬉しそうだった。


 なのに。

 
 今日の昼過ぎに容態が急変。あっという間の出来事だった。
 必死に処置を施す入江くんと西垣先生。
 何度も何度も名前を呼びつづけていたけれど、女の子に入江くんの声が届くことはなかった。
 
 最期の確認をする入江くん。



 『まだまだ経験が浅い方なのにこんな冷静でいられるなんてね。さすが入江先生ね。』 
 

 ナースステーションに戻ると一緒に立ち合っていたモトちゃんが言った。


 『今回の事は誰も予測できなかったんだよ。僕がオペしても結果は同じだったかもしれない。
 入江の処置は何も間違ってはいないしね。最後まで冷静でいたのは流石というか天才の余裕ってところか。』


 先に帰ってるなんて知らないあたしが入江くんを迎えに医局へ行ったとき、西垣先生がそう言った。



 ―――どうして・・・どうしてみんな何も気づかないのかな・・・。
     入江くんは全然大丈夫なんかじゃなかったのに・・・。
     あんな悲しそうで辛そうな入江くんをあたしは知らない―――。



 




 今日はしばらく書斎から出てこないだろう入江くんの為に簡単に食べられるおにぎりを作った。
 本当は書斎に持って行って入江くんの顔が見たい。
 入江くんを抱きしめてあげたい。
 でも今は行けないから、その気持ちを込めておにぎりを握った。


 あたしも軽く食事を済ませてからお風呂に入った。
 今日は入江くんの迷惑にならない様に早く寝てしまおう。
 寝室で髪を乾かしていたら、入江くんが後ろからぎゅうって抱きしめてきた。


 「わっ・・・い、入江くん!?」

 「おにぎり、食った。」

 「そう、おいしかった?」


 後ろから甘えるように抱きついてくる入江くん。
 柔らかい髪をくしゃりと撫でながら「コーヒー飲む?」ってきくとコクンって頷く入江くん。

 コーヒーを淹れてる間に入江くんにはお風呂に入ってもらって、あたしは心を込めて淹れたコーヒーを持って寝室へ行った。
 入江くんはとっくに上がってて半乾きの髪のままベッドに座っていた。
 髪の先から滴を落とす入江くんはいつもだったら色っぽいなんて思っちゃうけど、今日はとても辛そうで、その滴は入江くんの涙なんじゃないかなって思ってしまう。

 
 「入江くん、髪乾かしてあげるよ。」


 一息ついたところで声を掛けてみたら何も言わずに素直にドレッサーに座った。
 こんな素直な入江くん、初めてかも・・・。

 入江くんの肩に掛かってるタオルを手に取り髪の水分を拭き取る。
 柔らかい髪。ストレートかと思ったらちょっとハネてたり。猫っ毛?
 黙って髪を拭かれてる入江くんが・・・少し可愛く見える。
 ドライヤーで乾かし終えると入江くんが急にクルッと体を回転させてあたしのお腹辺りに手を回してぎゅって抱きついてきた。

 あたしのお腹に触れてる手が微かに震えている・・・。


 「おれって無力だな・・・。」


 黙って髪を梳いてるあたしのお腹で入江くんがポツリと呟く。


 「入江くんは・・・無力じゃない。スゴイ人なんだよ。」


 あたしの言葉に顔を上げる入江くんの表情は幼かった。

 
 「入江くんは努力家で、一生懸命で、頼りがいがあって。
 高校の時からあたしは助けてもらっているの。
 今は、いろんな患者さんを救ってくれるヒーローなの。
 格好良くて、素敵なヒーローであたしの自慢の大好きな旦那様。」


 本当は、もっと大事な事を伝えたいのに、心にある気持ちが言葉になってくれない。
 どうしてあたしっていざって時もこう、役立たずなんだろう・・・。


 「えっと・・・だから・・・あの。」

 「・・・ぷっ・・・」


 言葉に詰まってオロオロとしているとお腹に顔を埋めながら入江くんが肩をふるわせている。
 えっと・・・笑わせるつもりじゃなかったんだけど・・・。


 「うん、お前の言いたい気持ちは伝わったよ。」


 あたしは入江くんの前に立て膝をついて入江くんと目線を合わせた。
 近くで見る入江くんの目は色素が薄くて綺麗な瞳。
 曇り一つない透き通った力強い瞳。

 入江くんをぎゅうって抱きしめていつものセリフを言ってみよう。

 
 「大好き。入江くんの側にいて支えてあげられるようにあたしも頑張る。」


 迷惑掛けてばっかりでどうしようもないあたし。
 『大好き』の言葉とはちゃめちゃな行動ばかりで頼りないあたし。
 けど、いつか『おまえと結婚して良かった』って入江くんに思われたい。
 そのためにはどんな苦労と努力を惜しまないの。


 「知ってるよ、全部。琴子の気持ちもそれに伴わない行動も。」




 
 入江くんを頼ってくる患者さんは明日もやってくる。明後日も明明後日もそのまた次の日も。
 その入江くんの側で支えてあげるのがあたしの夢で目標。
 今日みたいな日は、この先も必ずやってくる。
 大好きな、愛しい入江くんと乗り越えていくんだ。

 相変わらずの意地悪な返答でツンと尖らせたあたしの口に柔らかいものが当たった。
 一瞬でよく分からなかったけど、目の前には入江くんの顔。


 「入江くん?」

 「おまえが居てくれて良かったよ。」

 「・・・。」

 「悪かったな。今日、お前楽しみにしてたもんな。」


 辛いことがあったのに、小さな気配りと優しさが嬉しいし愛おしい。
 やっぱり大好きでたまんないや。


 「また、今度行こうね。」

 「さぁ・・・どうするかな。」


 ニヤリと笑う入江くん。ちょっとは元気出てくれた?
 あたしは入江くんのほっぺに軽いキスをして勢いよく立ち上がる。


 「じゃあ、あたしも入江くんに見習って看護計画見直すね!入江くんは先に休んでて!入江くん、おやすみなさい。」


 そう言って立ち去ろうとしたとき、力強く腕を掴まれた。


 「今更見直したってムダ。明日しっかり婦長と主任に怒られてこいよ。」

 「なっ!!」

 「今のお前が一番すべきことはこれ。」


 こそ・・・っと耳打ちしてきた内容にあたしは顔が爆発したんじゃないかっていうくらいの衝撃!!
 熱いっ顔が燃えてるっ。
 そんなあたしを知ってか知らずか、入江くんが口を開く。


 「これからよろしくな奥さん。」


 さっきまでのしんみりブルーな入江くんの面影を必死に探す。
 どっこにも影がない入江くんとこれから起こるだろう出来事に複雑な気持ちになりながら夜は更けていったのです。




 落ち込んだ入江くんが前を向いて笑ってくれるなら、あたしはバカって言われても呆れられてもいい。
 少しでも入江くんの役に立っているのなら、あたしはそれで幸せを感じるから・・・。

 
                                   《END》 



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ちょっとしんみりなお話でした。
 琴子は直樹の事となれば何よりも一生懸命。それが実にならないことが多いですけど。
 そんな自分がきっと直樹の負担になってるって琴子は気にしているでしょうが、直樹にしてみれば案外そうではなくて。
空回りしてても自分を思ってくれてる気持ちが何よりも嬉しいんじゃないかなって。
そう思ってこのお話を作ってみました。
説明なしで伝われば言うこと無いのですが、管理人の文からではそれはあり得ないので、補足的に書かせていただきました。


そして・・・
直樹が琴子ちゃんに何を耳打ちしていたか気になっている皆様!

すみません・・・私にもわかりません(>_<)
どなたか続き書いていただけませんかね・・・
丸投げすんなって感じですよね~(汗)
だって、このまま行ったら野獣確定ですもん!!
管理人の脳内フル回転でも追いつかないかも・・・。
 
管理人のイメージ的にはガオーでキャインっな感じです。
どんなだっっっっっっっっっ(汗)

 

 

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拍手お礼

紀子ママさま。

 さすが紀子ママさん。いつも素敵なコメントありがとうございます。
 入江くんは、琴子には依存しまくりで。
 日頃冷たくてツンツンなのにいざというときには甘く、琴子の心をがっしりと掴んで離さない!!
 琴子も入江くん中心なので、入江くんの事となれば何でも直球で一生懸命!
 素敵なカップルですよね♪

 落ち込んでいるからと慰めたらすっかり野獣・・・。
 何て奴!!って書きながら思いました。
 野獣な入江くんでもしっかりと受け止める琴子ちゃんに尊敬です。
 陰で応援してやってください~。
 ありがとうございました☆

拍手お礼

Nocco さま。

 はじめまして。ようこそいらっしゃいました。
 琴子に甘える入江くん。
 そんな姿が見れるのは琴子ちゃんだけ。
 後ろからぎゅっていいな~って思って、随分前に書いたモノを掘り起こして修正したものなんです。
 琴子ちゃんに抱きついたり、甘えたり、髪の毛乾かしてもらったり・・・。
 日頃見られない入江くんに琴子ちゃんはいろんな意味で心配したと思います。
 けれど、いつの間にか野獣・・・(大汗)
 「こらーーー!!」って突っ込んでやってください!!

 この続きですか?!
 管理人の頭の中では警告音が鳴り響いております!
 危ないぞっ!!・・・と(笑)
 ・・・今のところ、全く考えていないのでとりあえずNocco さんの脳内で妄想をよろしくお願いします<(_ _)>
 皆様が忘れた頃に更新できるカモしれません・・・。
 確かなお約束ができなくて申し訳ありません。

 また、遊びに来てくださいね。ありがとうございました♪

拍手お礼

無記名さま。

 こんにちは。あとがきに萌えていただいたんですかね(笑)
 そうです。ガオーのきゃいんですよ~。
 どんなんなんでしょうね(^_^;)

 続きは相変わらず脳内のみで文章に表す勇気がございませんので、しばらくは無記名さまの脳内でよろしくお願いいたします。

 コメントありがとうございました。

じーん…ときました。

琴子ちゃんの一途で健気な気持ちに、年甲斐もなくキュンっとしたりじーんとしたり。
こんな琴子ちゃんに想われて、入江くんは本当に幸せですよね。
琴子ちゃんがいれば、彼はどんな困難でも乗り越えられる気がします。

そして、最後に野獣になりかけた入江くん(笑)
野獣でガオー!はすぐにわかったんです。で、琴子ちゃんの「キャインッ」がいかにも小型犬の可愛い感じで、萌えてしまいました~!
うるうるお目目の小さな琴子ちゃん犬に襲い掛かる大型犬(しかも性質悪い)。あああ…頑張って、琴子ちゃん!!
そしてnarack様も(笑)ぜひ子犬な琴子ちゃんと野獣な入江くんを見せてくださいませ♪

Re: miyacoさま。

こんにちは!

 こんな入江くんにしてしまって申し訳ありません~!!
 ラストはこうなる予定じゃなかったのに、勝手に手が動いてしまいました(笑)
 もっと夫婦の絆を・・・なんて思っていたのに、どうしてなんでしょう。
 ラストは・・・ですが、お互いを思い合うこの2人って本当に素敵だなって思います。

 最後には野獣になりかけというか気持ちはすでに野獣の入江くんでございます。
 いつぞやのア○フルのくぅちゃんの様な目で止めて欲しいって訴えてる琴子ちゃんが私の脳内に存在しております。
 入江くんにとったら食べてくださいって言ってるようなモンです。

 続きは忘れた頃に・・・アップできたらいいな・・・。私にアップする勇気を下さい(笑)

 いつも素敵なコメントありがとうございます。

拍手お礼。

Foxさま。

 こんにちは!
 拍手お礼ありがとうございます。
 Foxさんもこの続きをご希望ですか?!
 
 今の時点では皆様の妄想内でお願いしております(笑)
 実力が伴ってきた頃に更新できたらいいな・・・なんて思っているので
お待ち下さいね(>_<)
 
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Author:narack
☆いらっしゃいませ☆
 こちらは「イタズラなkiss」の二次創作と管理人の好きな物etcをつぶやくblogです。

 イタズラなkissに関しましては管理人の勝手な想像、妄想によるものですので二次世界が苦手な方はご遠慮ください。
 また、作者様、出版社様、その他関係者様とは一切関係ありません。

 管理人の創作で少しでも笑顔になれたら嬉しいです。
 皆様がHAPPYになりますように。

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