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知らない君。 〈3〉


 長い間放置してしまい申し訳ありませんでした。
 

 もう今更感満載な気がしますが続きです。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 「あら、お兄ちゃんお帰りなさい。」


 玄関を開けて最初に直樹を出迎えたのは洗濯物を抱えた紀子だった。
 ドアを開けた瞬間イノシシの如く階段を駆け下りてくるいつのも光景がないのが妙に物足りないような・・・気がしないでもない。そんな気持ちが影響したのか開口一番琴子の所在を確認すれば紀子はニンマリとほくそ笑む。


 「ムフフ・・・何だかんだ言ってお兄ちゃんも琴子ちゃんのこと大好きなんじゃないの♪そうよね~家に帰ったら誰よりも琴子ちゃんの顔を見たいわよね~♪」


 目の前にいる人間が母親じゃなければ一発かましてやれるのに・・・と直樹は何度思ったか分からない。
 けれど外の照りつける太陽と湿気を含んだ暑さで体力を消耗しており紀子と必要以上に絡みたくない方が強い。
 直樹は紀子の言動を無視してもう一度琴子の事を尋ねると、紀子もまたそれ以上触れる事なく「電話中よ。」とだけ答えた。

 
 「電話?」

 「中学校の同級生みたいよ。ほら、もうすぐ同窓会でしょ?みんなと久しぶりに会えるんですものお話に花が咲いているのよ。」

 「ふーん。」

 
 直樹は興味なさげにしながら靴を脱ぎ家に上がるもその仕草を見ていた紀子は思わず抱えていた洗濯物で顔を半分隠した。


 「・・・気になる?」

 「・・・別に。琴子の事まで気にするほど暇じゃないんだ。」

 「そう?でも一応言わせて貰うけど、心の狭い男なんてかっこ悪いわよ。」

 「はぁ?!」

 「ほらほら、汗かいて気持ち悪いでしょ?早くシャワー浴びて心も体もサッパリしてらっしゃい。」


 自分から絡んできたくせにと反抗の意味を込めれば紀子は気にすることもなくさっさと奥の部屋へ歩いていってしまう。
 直樹は母親のマイペースさについていけないとばかりにため息を吐くと漸く2階へ足を向けた。階段を3段ほど上ればそこからリビングの小窓が見える。そこへ目をやれば丁度楽しそうに話をしている琴子の姿が見えた。といっても表情までは見えなくて琴子の指がクルクルと受話器のコードと戯れているところだけ。
 それだけで談笑していると言うことは明らかだ。
 直樹はそれを一瞥するにとどめると早々に寝室に戻り着替えを持ってシャワーへと向かった。





 

 コンコン。


 控えめにドアをノックをした後、琴子はひょこりとドアから顔だけを覗かせた。

 
 「今、いいかな?」


 夫婦の寝室にもかかわらず、他人行儀に顔だけを覗かせている琴子に直樹は無表情で「何?」とだけ答えた。 
 直樹はシャワーを浴びたあと、琴子のいるリビングには寄らず、そのまま寝室へ向かっていた。
 当初シャワーのあとは書斎で勉強をしようと予定を立ててはいたのだが戻って参考書を手にした途端何となく気が乗らずそのままベッドに沈んで今に至る。もちろん、リビングいく選択肢もなかった。
 これでは居場所がなくなった年頃の娘を持つ父親のようである。

 琴子は直樹の了承を得ると漸く全身をドアから出して「おかえりなさい。」と部屋に入り、小走りで直樹のそばへ行くと「どうぞ」とアイスコーヒーを差しだした。


 「ごめんね、お出迎えできなくて。外、暑かったでしょう?」


 差し出された弾みでグラスの中の氷がカランと音を立てて泳ぐ。
 グラスもしっとりと汗をかいていて触らなくてもその液体が冷えていることが分かる。
 そんなコーヒーを見て、そういえば帰ってきてから全く水分を摂っていなかった事に気付き、身体がいつも以上に渇いているように感じた。
 直樹は膝に置いていた参考書を置いてベッドサイドに座り直してコーヒーを受け取り、吸い寄せられるようにそのまま口を付けた。
 コクリと一口飲んだだけで身体が潤っていく。キンキンに冷えた液体が身体に落ちていくのがリアルに感じ取れてそれが酷く心地よい。ホッと息を吐けば香ばしい香りが鼻から抜けて、直樹本人も気付かなかった余分な力もここで漸く抜くことができた。
 思わず「うまいな。」と呟くと、聞き逃さなかった琴子は「よかったぁ」と顔を綻ばせる。
 いつも以上の喜びように「何?」と問えば琴子は「あのね!あのね!」と興奮気味だ。


 「それね、水出しコーヒーっていうの。入江くん、今日テニス行くって言ってたからきっと汗だくで帰ってくるだろうと思って昨日の夜から準備しておいたんだ。」

 「へぇ、飲みやすくて美味い。」

 「あのね!豆はいつもと同じなんだけど、挽き方を変えてみたんだよ。水出しだとね、雑味とかが少なくて香りとコクが引き立つんだって雑誌に書いてあったの。」


 直樹が気に入ってくれたことが分かると琴子は遠足から帰ってきた子供のように嬉々として話し始めた。
 琴子は直樹の役に立てられることがあまりに少ないと思っていることが多いので、喜んでくれることが何よりも嬉しい。
 直樹の喜びは自分の喜び。そう言わんばかりに身体中で表してくる琴子を見てると頬が緩む。目を細めて琴子を見ていると、直樹の視線に気付いたのか大きな瞳と目があった。


 「少しだけでも元気出たかな?」

 
 何が?と視線で答えれば琴子は「あれ?違ったかな?」と少し困った顔を浮かべた。


 「最近、入江くんが何かに悩んでいるって言うか考え事してる様な気がしてて・・・思い過ごしなら良いんだけどね・・・。」


 直樹の中では特に変わりない日常を送っているつもりだった。琴子もいつも通りに接してくるからそんな風に思っているなんて思わなかった直樹は一瞬目を見開いた。


 「何でそう思ったんだよ。」  

 「ん?えっとアレ・・・かな?」


 琴子はそう言いながらさっきまで直樹が手にしていた参考書を指差した。


 「だって入江くん、いつもビックリするくらいの速さでページをめくっていくのに最近は全然進んでいないんだもん。」


 隣で独り言の如く喋ってるだけじゃないんだなと心の中で失礼なことを思いつつ、でも自分の事を見ていてくれている事に直樹は驚いた。確かにここ最近はあまり本を読む気になれない気がする。一応手に取ってみるものの内容がすんなりと入っていかない。今日だってシャワーを浴びてスッキリしたはずなのに3ページしか進んでいなかった。
 「気のせいじゃないの?」と言ってみるものの琴子の顔は冴えないままだ。


 「なんにもねーって。暑いからちょっとはバテてるかもしれねーけどな。おれだって集中力が落ちることだってある。」

 「・・・そう?」

 「そうだよ。おまえもおれの事考えてないで自分の課題進めたら?言っておくがおれに頼ろうなんて思ってないだろうな。おれは努力も何もしない奴に手を貸すつもりは一切ないからな。」

 「えーーー」

 「当たり前だ!前半は九州行ってほぼ手つかずなんだろ。課題進めとかねーと同窓会だっていけないぞ。」

 「それは・・・やだ。」

 「だろ?だったら計画的に進めておけ。今時の小学生だっておまえほど溜めこめねーぞ。」


 コーヒーを飲んで活力を得た直樹はいつも調子をを取り戻したように饒舌だ。
 冷たい筈なのにいつもの直樹が戻ってきたと思うと琴子は嬉しいと思ってしまう。
 隣でどんどん減っていくグラスのコーヒーを眺めながら、琴子はツンっと直樹のシャツを引っ張った。


 「あの・・・入江くん。お願いがあるんだけど。」

 「・・・。」


 いつも主語をぶっ飛ばして会話を繰り広げている琴子が改まって話しかけてくることは直樹にとって決して良いことではないと長年の勘が告げている。
 口が裂けても言えないが、シャツの裾をちょっぴり摘みながら大きな瞳で上目遣いに見つめてくるその様子は可愛いとは思う。だがそれとこれとは話は別だ。


 「嫌だ。」

 「何も言ってないじゃないのっ」

 「断れとおれの勘が囁いている。」

 「酷いっっ!話くらい聞いてくれても良いじゃないの、ケチ!」

 「ほー、それが人にものを頼む態度か。」

 「い、意地悪っっ」

 「意地悪なおれが良いんだもんな、琴子。」

 「~~~~!!」


 話がちっとも進んでいかない。
 目の前の直樹はいつもの直樹で様子がおかしいと感じたのはやはり勘違いなのかもしれないと琴子は思えてきた。
 やっぱり意地悪な入江くんより優しい入江くんが良い!と思いながらこれ以上のやりとりに勝手に区切ると気を取り直して「あのね!」と切り出した。


 「あたしの同窓会に一緒に来て欲しいの。」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ということでお待たせした割に超短くてスミマセンm(_ _)m
 夏休みは本当に手つかずで放置だったので短いですがここまで更新します。



 時間が空きすぎて当初考えていたのと変更!もう一度練り直していこうと思います(^^)


 

 
  

  

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Re:紀子ママさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪
お返事遅くなって申し訳ありません(>_<)

顔にも口にも出しませんが我が家の入江くん、結構気にしぃなんですよ(笑)女々しいですよ(^_^;)
そんな入江くんが今後どういう行動していくのか、私も分からず・・・(笑)
そんな旦那さんを心配してる琴子ちゃんは本当に良い子ですよね~。書きながらしみじみと感じます(>_<)
入江くんの同窓会同伴。良いアイデア♪ですよね!!
入江くん本人も思いっきり牽制できるし一石二鳥ですもんね(^^)
きっと入江くんの心の中は葛藤していると思います(^_^;)

Re: たまちさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

ぶぶwwwもうレトルトご飯並ですねwww いや、それ以上ですね!!
紀子ママもさすが入江くんお母様!息子の事はよく分かってらっしゃる(笑)
入江くんも自分の母親の性格を嫌って程分かっているから必要以上に取り合わないし。

そして今回の入江くんは結構気にしぃで女々しい(笑)
ある意味独占欲丸出しで年相応なのかもしれません(^_^;)
素直になれば解決することもあるはずなんですがまだそこまで素直になりきれないのが入江くんらしいっちゃーらしいんですけどね(^_^;)
そんな入江くんの変化に気付いている琴子ちゃん。理由は分からないにしても琴子ちゃんは常に入江くんの事を見てて気に掛けてて・・・いい奥さんですよね(^^)

同窓会同伴・・・さて、どうなることやら・・・ですね(^_^;)
続き、頑張って書きます(^^)/

Re: ねーさんさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

いえいえ私こそ超適当なブログ運営で申し訳ありません(>_<)
手抜き加減が半端なくて驚いたでしょう(笑)

このお話、同窓会当日の8月13日には終わる予定だったんですよ(笑)なのにもう10月になろうとしてる・・・(大汗)
しかもまだ同窓会すら始まっていないとか・・・(>_<)

でも少しずつ進んでいきますのでお待ち下さいね(^^)
さてさて、漸く本筋に入っていこうとしてます。無事に同窓会が終わるのを祈ってあげててください。
直樹という人間が素直に聞き入れるのか・・・。こんだけ女々しくとも素直じゃないですから困った男です(^_^;)

琴子ちゃんの中学時代ですか?!リクありがとうございまう♪本編が終わったら考えてみたいと思います(^^)
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