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敏感で不器用。 鈍感で器用。

お久しぶりです。

ちょっと時間が出来たので創作してみました。


よろしければ暇つぶしにどうぞ~(^_^)






・・・・・・・・・・・・・・




 「入江くーん。」


 コンコンと控えめなノックと共に遠慮がちな琴子の声が続く。
 あぁ。と短い直樹の返事の後ゆっくりと振り返ると琴子がドアから顔を出していた。


 「コーヒー淹れたんだけど・・・入ってもいい?」

 「あぁ、今飲みたいと思っていた所なんだ。」


 直樹は集中しすぎて固まった身体を目一杯伸ばす。そろそろ休憩しがてらコーヒーを淹れにリビングへ下りようと思っていた時に琴子に声を掛けられてホッと息をついた。
 遠慮がちに「お邪魔しまーす」と小さく呟きながら書斎に入りその足運びが何ともぎこちない琴子に直樹は思わず笑ってしまう。


 「何て入り方してんだおまえ。」

 「だってここはお義父さんの書斎だし、難しい本いっぱいあって落ち着かないというか慣れないというか・・・」

 「なんだそりゃ」


 直樹は社会人になっても学業に拒絶反応を起こしている琴子に苦笑いをしながら琴子からコーヒーを受け取った。
 その隣にはお揃いのマグカップが1つ。


 「なんでもう一つあるんだよ。」

 「えへへ、一緒に飲みたいなぁ~なんて思って・・・邪魔しないからっ ね?」

 「・・・まぁ・・・別に構わないけどな。」

 「うんっ ありがと、入江くん!」


 直樹に了承を得た琴子は満面の笑みで頷くと隅っこに置いてある折りたたみの椅子を直樹から少し離れた所に広げた。
 さっき書斎に入るのに躊躇うと言っていたばかりなのにコーヒーを用意してくるとか矛盾してるだろうと思いつつ直樹はコーヒーを口に含みつつ書類に目を通し始めた。
 今までも集中していたけれど琴子のコーヒーを飲むと頭がリフレッシュ出来て余分な力が抜けたのが分かる。
 ホッと小さく息をついて残りの仕事を片付けようと机に向かい直した時―――――


 「んあっっつぃ!!」


 と琴子の悲鳴に近い声が聞こえた。
 驚いて振り返ると琴子が口元を押さえて俯いていた。
 

 「おい、どうした?」

 「や、なんでもない・・・ごめ・・・ちょっとココアで火傷しちゃって・・・」

 「は?」


 サイドテーブルに目をやればそこには琴子のマグカップが置いてあるのだがそのマグカップからは勢いよく湯気が昇っていた。
 そっとマグの側面に触れるとかなりの熱さで直樹は思わず顔をしかめた。
 

 「おまえ・・・馬鹿だとは思ってたけどここまでだとは・・・」

 「は?!」


 近寄ってきて来てくれたから大丈夫か?と心配してくれるかと思えば出てきた台詞は小馬鹿にしたような台詞。
 思わず顔を上げればそこには不機嫌そうな表情の直樹がいた。
 

 「これ、沸騰したてのお湯で作っただろ!そんなので作ったら火傷するに決まってるだろうが!ったく!ちょっと見せてみろ!!」

 「う・・・うん。ごめん・・・」

 「謝って治るもんじゃないだろ、ほらさっさと口開けろ。」


 直樹に圧倒されて飛び出す寸前の抗議の言葉はあっと言う間に引っ込んでしまった琴子は素直に口を開けて舌を出す。
 ピンク色の舌の先は熱湯に近いココアで真っ赤になっていた。
 しっかりと火傷している舌は見るからに痛そうではあるがこれくらいで済んで良かったと言うべきか。
 「ザラザラしてヒリヒリする」と涙目の琴子に「それくらいで済んで良かった方だよ。」と直樹は溜め息を吐いた。
 

 「冷たい水でも飲んでこいよ。ったくマグ持った時点で火傷するって分かりそうなもんだろうに。」

 「む・・・しょ、しょうがないじゃないっ 猫舌なんだから火傷しやすいのよっ」

 「はぁ?」

 
 水を取りに部屋を出ようとする琴子に直樹はちょっと待てと呼び止めた。


 「おまえそれちょっと間違ってるぞ。」

 「へ?何?」

 
 早く舌の痛みから解放されたい琴子は舌をハフハフさせながら首を傾げた。
 

 「悪いけどそんな熱湯を口にしたら猫舌じゃなくても火傷するぞ。猫舌だから火傷するというのは間違ってる。」


 火傷して傷になってしまっているだろう舌を見てくれたと言うことは直樹なりに心配をしてくれているということは琴子も分かっていた。けれど大丈夫か?の一言もなく自分の台詞を訂正されて思わず口を尖らせる。


 「で、でも言わせて貰えば猫舌で熱さに敏感だから火傷しやすいんでしょう?猫舌じゃない入江くんは熱さに強いから火傷しないんでしょう?」

 「だからその話からすると猫舌じゃないおれは熱湯でも火傷しない事になるだろうが!こんな熱いの飲んだらおれだって火傷するぞ!猫舌はただ単にそそっかしいだけのことだ。」

 「んなっ! だ、大丈夫の一言もなしに出た台詞がそれ?!」

 「間違った事言うからだろ。まぁ猫舌は熱さに敏感な人に多いっていう話もあるからな。」

 
 直樹は引き留めて悪かったと水を飲みに行くように促しながら琴子の頭を撫でた。琴子は未だに納得のいかないような顔をしているが直樹が言うことも尤もだと思い小さく頷いた。確かに琴子の解釈からすれば直樹はどんな熱湯でも火傷しない事になる。いくら天才でもそれはあり得ない。
 ということは直樹は・・・


 「入江くんの舌は鈍感って事・・・?」

 「はぁぁ?!」

 
 ポツリと呟いた琴子の言葉に直樹は思いきり反応してしまった。
 確かに火傷をしないということは猫舌の人よりも少しは熱さに強いのかもしれないが琴子に鈍感と言われたのが不本意極まりない。


 「それ、聞き捨てならないな・・・」

 「え?なに・・・ひゃあっ」


 直樹は琴子の腕を取ると書斎机の椅子に無理矢理座らせた。そして逃げられないように肘掛けに両手を付いて琴子に覆い被さった。


 「なぁ、琴子知ってるか?」

 「え?な・・・なに?」


 至近距離でしかも耳元で囁かれて琴子は身を固くする。 
 そしてどうしてこんな展開になってしまったのか理解できず軽くパニックに陥っていた。


 「確かに猫舌じゃないヤツは猫舌のヤツよりも熱さに敏感じゃないかもしれないけど猫舌のヤツの特徴は粗忽で不器用なヤツが多いんだって。」

 「へ?そ、そこつ?」

 「ということは猫舌じゃないおれは慎重で器用って事になる。それってどういう意味か分かる?」

 「・・・へ?な・・・に・・・っ」

 
 聞き慣れない言葉で質問された瞬間、琴子の目の前にいた筈の直樹が視界から消え、温かいものが唇に触れる。
 それが何かと理解するまで少しだけ時間を要した。

 驚きのあまり開いてしまった唇から温かいものが入り込んできて琴子は思わず目を見開く。
 けれど長い睫毛とさらさらの髪が触れた瞬間、直樹にキスをされていることに気付いた。
 火傷した舌を絡められて琴子はぞくりと泡立ち、助けを求めるように目の前の直樹の服に縋り付く。直樹の器用に動き回る舌を必死に受け止め琴子なりに絡ませ合い、ちゅっと音を立てて離れた時には荒い呼吸で直樹の顔を見るだけで精一杯だった。


 「い、いりえく・・・?」

 「分かった?意味。」

 「え?何を・・・」

 「だから、猫舌の琴子は不器用だけど一生懸命受け止めてくれて感度も良いからそそるってこと。」

 「・・・へ?・・・えぇぇ///」

 「いいね、その反応、さすがは琴子だよな・・・ここが寝室なら速攻押し倒すのに。」

 「え・・・んっ///」

 「甘いな・・・琴子の舌。」


 どうして火傷してからこんな展開になってしまったのかと思った思考回路は瞬時に直樹によって停止させられた。
 ザラザラでヒリヒリしていた舌もキスを重ねる内に痺れてしまい痛みもどこかへ飛んでいってしまう。
 そして湯気が立ち上っていた熱湯のココアもほのかに温かさを感じるまでになっていた。
 
 真っ赤な顔をして必死に受け止めてくれる琴子の表情を見ながら直樹はまた来年も同じ事を繰り返すのだろうと密かに思う。けれどそれも悪くないものだと心の中で笑った。





 ―――――敏感で不器用・・・ね。だからこそおれをこんな風にのめり込ませてくれるんだけどね。




 《END》



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 はは・・・久しぶりに創作したかと思えばこんな話でスミマセン(^_^;)
 最後、どうしてこうなってしまったのだろうと私も疑問です(笑) 

 このお話のきっかけは実際にあった私と旦那の会話です。
 
 出掛ける間際にマイボトルにカフェオレを作って出掛けたのですがそれが沸かしたてだったのを忘れて飲んだら思いっきり火傷してしまって(^_^;)
 「猫舌だから火傷しちゃった」と私が呟いたら運転していた旦那さんが「それは違う!!」と思いっきり突っ込んできました。作中前半の猫舌会話文はほぼそのまま引用してます。
 えぇ・・・私は粗忽者ですよ・・・ハイ(-_-)

 後半は入江くんの暴走・・・というか私の妄想です。けれど、これが私の願望ではないことを強く主張したいと思います(笑)
 妄想と願望は違いますよーーーー。って事で(^^)


 本当は漫画にしようと思っていたんですけどなかなかPCに触れなくて断念しました。
 自己満足なだけです、ハイ(^_^;)

 ここまでの駄文にお付き合い下さりありがとうございました。


 
 

 
 





 

 

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Re: たまちさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

たまちさんも猫舌ですかー。私もかなりのネコなんで、いつまでも飲めないし食べられないです(^_^;)
小龍包とか大好きなのに食べられなくて美味しいピークを過ぎたのしか食べられません(>_<)

入江くんの邪魔はしたくないけど、やっぱり一緒にいたい琴子ちゃん。
仕事している後ろ姿を見てるだけで幸せいっぱいな琴子ちゃんがかわゆす(*^_^*)です。
でも結局仕事をお勉強を中断させてしまうんですけどね(≧m≦)
そして入江くんもまんざらでもないし楽しんでいるんですが(≧▽≦)

最近ネタが尽きてるし、創作脳も働かないので日常からヒントを得て書いていけたらと思ってます(^^)

Re: ねーさんさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

直樹がしそうな言動っっ!ありがとうございます(^^)
入江くんはツンデレですけどsですから確かに隙あらばキスしてそうですよね。
キスしまくって真っ赤になってる琴子ちゃんに「なに赤くなってんの?」とか言ってシレっとしてる・・・そんな入江くんが大好物です。
入江くんはそれが精一杯の愛情表現だけど琴子ちゃんは言葉で安心したいからそれを言ってくれないからずっと不安を抱いている。でもこれはイタキスの永遠のテーマかなと思います。
(偉そうなコメント失礼しましたm(_ _)m)

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