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太陽の花

このお話は『向日葵』の直樹目線です。



「ただいま。」


 仕事が終わり家に帰るとお袋が出迎えてくれた。
 「琴子は?」と聞いたら、庭にいるというからとりあえず荷物を寝室に置いた後、琴子のいる庭へ出た。


 「えっと、土掘って・・・ならして・・・」


 一人でブツブツ言いながら向日葵の種を蒔いている琴子。
 種を蒔いてるだけなのにおれが背後に立っても視線を送っても気づく気配がない。
 どんだけ真剣なんだよコイツ。

 堪らず「ぶっ」と吹き出すと、それに気づいた琴子がパっと俺を見た。


 「あっ おかえりなさい。夜勤、お疲れ様。」


 頬に土を付けたまま笑っている。種蒔くだけなのに何で顔が土まみれになるんだよ。
 呆れながらズボンのポケットに手を入れたらカサっと音がした。
 出してみると向日葵の種だった。

 ああ、そうか。患者さんから貰ったんだっけ。

 おれは貰った種を琴子に渡し、蒔いて貰うことにした。




*  *  *  *  *  *  *  *




 向日葵は琴子の世話の甲斐あって、夏本番になると琴子の背を超え、下手すればおれを超える程に生長している。
 花が咲くのも時間の問題で、琴子は いまかいまか と待ちわびている。
 その姿は理科で観察日記をつけている小学生みたいだった。

 夫婦で休みの日、朝おきて何気なく寝室の窓から庭を見ると一本だけ向日葵が咲いていた。
 隣ですやすや寝ている琴子はいつ気づくのだろうか。
 きっと喜んでおれに報告しに来るんだろうな。
 それを想像すると自然に頬が緩くなる。
 琴子の半開きの口にキスを落として、おれは寝室を出た。

 クーラーの効いたリビングで集中して本を読んでいると何時から居たのか、琴子に首を絞められた。
 「ぐぇっ」っと思わず呻いてしまうほど苦しかった。


 「こ・・・琴子! お前は加減ってものを知らないのかっ!!」


 苦しみの怒りを感情に乗せて叫ぶと、堪えてないのかへらへらと笑っている。
 コイツ・・・おれの苦しみを知らないで・・・。
 おれの気持ちも知らずに後ろから汗くさい身体で抱きついてくる琴子に苛立ち、おれは琴子の身体を掴むとソファの上から一回転させながら自分の膝に乗せてやった。


 「きゃぁぁぁ!! な、な、何!!? 何がおこったの?!」


 予想以上に琴子が軽くて勢いよく回転して内心おれも驚いたが、それ以上に琴子はびっくりしてぎゃあぎゃあ叫んでいる。
 
 琴子が軽いとか言うと、複雑そうなカオでおれを見ている。
 「重い」って言ってないのに何が気に入らないんだ?
 女って・・・ってか、琴子の思考がわからねえ。
 子供みたいな反応をしてくる琴子が可笑しくて、可愛くて思わず吹き出してしまった。


 「あっ あたしの事バカにしてるでしょっ」


 いや・・・ 馬鹿にしてるっていうか、お前馬鹿だしな。
 そう言うと、頬が破裂するんじゃないかっていうくらい膨らませて思いっきりおれの胸を叩いてくる。
 正直、痛いんだけど。

 本当に同い年なのか?さっきから琴子が小学生の反応にしか見えない。
 裏表のない琴子ならではの行動がすごく愛しく思えて、笑ってしまう。
 小学生には小学生の対処しなきゃとよしよしと頭を撫でてやった。


 「んもうっ 子供扱いしないで!!」


 珍しくおれの心情を悟ったのか琴子は余計に怒りだし、口を尖らせてぷいっと横を向く。

  子供扱いするなって言う割に行動がもう子供じゃねえか・・・。

 これ以上笑うとどんどん幼児化していきそうな琴子。
 さすがにこれ以上駄々捏ねられるとあやすのが面倒だからな。
 深呼吸をして気持ちを静めたあと ぎゅっと抱きしめてやる。

 びくっと身体をこわばらせたと思ったら、じぃっとおれを見つめてくる。
 一生懸命俺を覗っている琴子。
 おれが琴子の頬にキスすると ぎゅうっと首に抱きついてきた。
 そして、ぽつり、ぽつり、と話し始めた。


 「ね・・・ヒマワリ咲いたんだよ。」

 「そうみたいだな。」


 そう言うと、ヒマワリでお花見しようとか言ってくる。
 この炎天下で花見とかどうかしてるよ、まったく。
 速攻で断るとケチだとか文句言ってくるし。
 向日葵で花見とかフツーしねーよ!!

 それに、年中夏みたいに明るい向日葵みたいなお前がいるし。

 そう呟くと「わかんない」ってカオをしてる。
 それでいいんだ。おれが密かに思ってるだけでいいんだ。


 「ね・・・ヒマワリ見てると元気になれそうだね。」


 そうだよ、いつも明るくて前向きで、一生懸命でキラキラしてる琴子。
 夏の太陽をいっぱい浴びて真っ直ぐ立って咲いている向日葵のよう。


 「お前は向日葵そっくりだな。」


 思わず呟くと、嬉しそうにまた抱きついてきた。
 本当にお前は向日葵だよ。

 「大好き」と言い続けて、ずっとおれを見つめ続けてる琴子。
 それは衰えるどころか益々強くなるばかり。
 おれだって琴子への思いは増していってるはずなのに、お前のパワーが強すぎて隠れてしまうんだ。

 同居し始めた時はうっとおしかった「大好き」は今やおれの安定剤。
 それはどんな言葉よりも光輝なんだ。

 おれの大切な向日葵。枯らしてしまわないように大切に育てていこう。

 よく泣いて、拗ねて、怒って。かと思えば笑って、喜んで。

 表情豊かな琴子。 
 お前さえいればおれは頑張れる。

 おれの身体に抱きついてくる、ちょっと汗くさい向日葵を受け止めながら庭の夏の暑さに耐えている向日葵を見つめた。


                                       《END》



  ※向日葵の花言葉※
     ・・・ あこがれ、私の目はあなただけ見つめてる、崇拝
       熱愛、光輝、愛慕 ・・・

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拍手お礼。

無記名様。

 拍手コメありがとうございます。
 入江くんにとって大事な琴子ちゃんはキラキラとまぶしくて太陽の様ですよね♪
 楽しんでいただけてとても嬉しいです♪

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Re: あやみくママさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

わぁぁ~(>▽<)!こんな初期のお話にコメントしていただけるなんて~!嬉しいやら恥ずかしいやらデス♪
繰り返し読んでくださるなんて本当にありがとうございますm(_ _)m
この話を書いたときはイタキスを知って嵌ったばかりの初心者でした(今もですが。)
私の琴子ちゃんのイメージと向日葵がピッタリきちゃって大興奮で書いたような気がします(^_^)

最近は少し眠りが深くて起きたら朝!!って感じで嬉しいです(*^_^*)
これでもっと寝付きが良くなれば言うことないなって思います。
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