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やっぱり可愛い君が好き。 -前編-

 『無自覚男と初夏の空』の結婚後ver.です。

 リクエストして下さった方、ありがとうございました。
 ご期待に添えているかは自信ありませんが楽しんでいただけたら幸いです♪




・・・・・・・・・・・・・・・・


 「ただい――――」
 「おかえり、お兄ちゃん。」


 玄関のドアを開ければ琴子が転がる勢いで笑顔いっぱいで迎えてくれる事が日常になった今、そうではない家人に迎えられて直樹は心の中で大きく舌打ちをした。

 妻、琴子の代わりに迎えてくれたのは母、紀子で純粋に迎えているわけではなく何か言いたげな顔で玄関に立っていた。しかもドアを開けた時には既に立っていたということは随分前からここで待っていたということだ。
 またどうでも良いことで突っかかってくるのだろうと思いながら直樹はこれでもかと顔をしかめ「何?」と問いかけた。


 「何じゃないわよ。お兄ちゃん、あなた琴子ちゃんに何したの?!」

 「は?」

 「一途で可愛い琴子ちゃんを泣かせるなんて、あなた男としても夫としても失格よ!」

 「はぁ?」

 「身に覚えがないなんで、天才が聞いて呆れるわ!お兄ちゃん!!」


 顔を見るなり何を言うかと思えば。
 確かに今でもそっけない態度を取ってしまうが、長い間同居してきた琴子にとってはもはや日常と化している。
 それを正当化するわけではないし、実際他人の目に2人がどう映っているかは分からないが直樹と琴子の仲は至って良好で最近喧嘩した記憶もない。声を大にしては言えないが昨日の晩だって細く柔らかい身体を抱きしめて眠ったくらいだ。


 「そう言ったのか。」

 「何を。」

 「琴子がおれに意地悪されたとか言ったのか?」

 「いいえ。でも琴子ちゃんの様子がおかしいのよ!いつもなら帰ってきたらわたしと一緒におやつを食べるのにここずっと一緒にお茶してくれないのよ?!」

 「は?」

 「一緒に楽しいお話をしたいから琴子ちゃんの好きなお菓子を用意しても琴子ちゃんったらいらないってすぐ2階に上がっていってしまうのよ!女の子にとって大好きなモノが喉を通らないことは一大事なのよ!そんな状態にしてしまうのはお兄ちゃんくらいしかいないじゃないの!」

 「・・・。」


 『琴子の機嫌が悪い=直樹が原因』という方程式は紀子のなかで未だに有効らしい。
 相変わらず真っ先に疑うのは止めてほしいと思う。しかも最初の台詞なんかは数年前にも聞いたものだ。
 

 「おふくろ、今朝おれたちがいつも通り出掛けていったのを見ていただろ。どうしておれのせいなんだよ。」

 「あら、そんなの大学でイジワルしたのではなくて?」

 「おれと琴子は今日1日大学内で会っていない。嘘だと思うのなら小森と石川に聞いてみれば?大体、琴子の機嫌が悪い原因が全部おれだとか言うのいい加減止めてくれ。」

 「じゃあ、大学で会えなかったことが原因よっ!お兄ちゃんってば琴子ちゃんが何も言わないからって毎日遅く帰ってきてずっと寂しかったに違いないわ。可哀想な琴子ちゃん。おにいちゃん!いくら琴子ちゃんが優しいからってちょっと甘えすぎよ!」

 「・・・。」


 ちょっとばかり痛いところを突かれて直樹は少し気まずい。
 確かに直樹は出会ってからいろんな意味で琴子に甘えっぱなしではあった。
 けれど、大学で会えないことは復学してから日常茶飯事だし、医師になることを誰よりも理解し応援してくれているのでそんな理由ではないと直樹は思う。
 
 でも確かに紀子が指摘するように最近の琴子の様子がおかしいようだった。

 「ようだった」と表現するのは直樹自身は気付かなかったのだが周りに同じ様なことを尋ねられたからだ。
 

 「ちょっとお兄ちゃ」
 「悪い、おれ疲れてんだよ。2階上がるわ。夕飯、おれと琴子いらないからそっとしておいてくれよ。」

 「おにい・・・」

 「間違っても覗こうとするなよな。おふくろ。」


 まだ何か言いたそうな紀子を玄関に残し、直樹はそのまま2階へ上がった。
 しばらく経ってからぎゃんぎゃんと抗議の声は聞こえてきたが、その声に構うことなくいろんな理由を考えていた。

 実は今日直樹は大学内で今と同じ様な質問をされていた。
 休み時間、連れに「お客さん」と呼ばれて廊下に出ればそこには理美とじんこが立っていて。
 琴子の付き添いで医学部に来る事はあっても2人だけで直樹をを訪ねてくることなんて今までなかっただけあって何事かと思い、直樹は2人を確認するなり「琴子に何かあったのか?」と思わず聞いてしまった。
 それからしばらくして直樹の前に現れたのは松本姉。
 わざわざ理美達のように尋ねてきたのではなく偶然会っただけなのだが直樹の顔をみるなり質問が飛んできた。


 「琴子(相原さん)の様子がおかしいけど心当たりある?」


 と。 




















 
 寝室の前に立ちノブを回すとドアはすんなり開いた。
 もしかしたら鍵が掛けられているのではないかとも思っていただけに少しだけホッとする。
 けれどドアを開けた先にあったのはベッドの上のこんもりとした山だった。
 

 (ま・・・機嫌は良くないってことか・・・。)


 何か考え事があるとき、納得がいかないとき、悲しい思いをしたとき、琴子は布団に潜る。
 これは小さいに1人で乗り越えるために身につけた方法。
 直樹はとりあえず荷物を机に置きくと布団の山をゆっくりとめくった。するとすぅすぅと寝息を立てている琴子がいた。
 空調の効いた部屋でも布団をすっぽり被って眠っている琴子。
 冷え性の癖に薄着ででも冷房を強めにかけて布団に丸まっているというこの姿。気持ちよさそうに寝ている顔にはうっすら汗が光っている。


 (なんちゅう矛盾だらけな寝方なんだ、ったく。)


 汗をかいて顔に張りついている髪をそっとどかすと琴子が小さく呻いた。
 直樹はベッドサイドに腰掛けると小さく琴子の名前を呼んだ。


 「琴子。」

 「ん・・・」

 「こーとこ。」


 2人だけの時にだけ出る直樹の甘く優しい声。直樹自身、自分がそんな声を出している事に全く気付いてはいないのだけれど、紀子が聞いたらきっと興奮して発狂してしまうだろう。
 そんな声色で何度も呼びかけると琴子はゆっくりと目を開けた。
 

 「いりえくん?」

 「ただいま。よく寝てたな。」

 「え?・・・あっ!ごめんなさい!お出迎え出来なかった!!」

 「いや、それは良いんだけど・・・。」


 直樹の顔を見た途端に飛び起きて出迎えられなかったことに酷く申し訳なさそうにする琴子に直樹は苦笑いした。確かに琴子が笑顔で迎えてくれるのは嬉しいけれど疲れているときはきちんと休んで欲しい。そう思うのなら起こさなきゃいいのに、その矛盾は気付いていないらしい。
 直樹は琴子の頭をポンっと撫でた。
 
 それよりも――――――――。


 「おまえ、何か悩みでもあるのか?」

 「へ?」


 突然の質問に琴子は目を見開いた。
 起き抜けで頭がボーッとしていたのに一気に覚醒していく。


 「何?いきなり。」

 「や・・・何って訳じゃないんだけどな。今日大学で聞かれたんだよ。「琴子の様子がおかしいけど心当たりあるか?」って。」

 「へ?」

 「おまえ、まさかあの時みたいに心配しなくても良いことを1人で悩んでたんじゃないだろうな。」

 「・・・え・・・あっ!」


 直樹の質問にきょとっとしていた琴子だが、思い当たることがあったのかさっと顔色が変わった。その瞬間、直樹も予想していた理由が当たったことに気付いた。


 「おまえなぁ・・・。」

 「だって!!」


 直樹の呆れた表情に琴子は思わず反論した。
 目にはうっすら涙を溜めて顔を真っ赤にして。
 直樹的にはその仕草や表情にくらりとするがそんなピンクな空気ではない今、平然とした態度を装う。


 「なんでそんなにこだわるんだよ。おれ一度もそんな風に思ったことないけど?」

 「入江くんが思わなくてもあたしは気になるの!入江くんの奥さんだったら尚更なの!!」


 


 酷く真剣な顔の琴子に直樹は言葉を詰まらせる。
 直樹にとってはたかがな話だが琴子にはされどな事なのだ。

 







 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 本当は1話完結でアップする予定でおいておいたんですが、今年の夏休みは全く創作する余裕がなくて(私が不器用すぎるだけなんですけど・・・)このままだとずっと書かない様な気がしてきたので前後編として更新することにしました。
 続きはいつ更新出来るか全く分かりませんが、更新できたときには気軽に目を通していただければと思います。

 お話の軸は「無自覚男~」と同じなので(多分)内容は大したことはありませんがよろしくお願いいたします(^_^)


 そして前回の記事ついてのお話ですが、過去に更新したイラスト記事の中で一番たくさんの拍手を頂きました♪
 めっちゃくちゃ嬉しかったです♪つい調子に乗るところでした(^_^;)
 本当にありがとうございましたm(_ _)m

 いくつになってもお絵かきやマンガを読むことから抜け出せないイタイ女ですがこれからもボチボチやっていこうと思います(^_^)

 

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Re: たまちさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

たまちさん!本当にご無沙汰しております!!
お返事遅くなってしまい申し訳ありません(>_<)

夏休み、漸く終わります~!子供にとっては自由が利く夏休みはとても嬉しいモノですけど親にとっては大変の一言ですよね(^_^;)でも私たちもこうやって育ってきたのですから子供の気持ちも分かりますし、親の苦労も分かりますね。やっぱりお母さんって凄い!!改めて感謝です。
そして、お話について(^_^)
琴子ちゃんの様子がおかしいのは全て入江くんが原因でないのに真っ先に疑われるのは過去の事例があるからこそなんですが、ちょっと可哀想かも(笑)なんて思いながら創作していました。
無自覚時期からここぞというときは琴子ちゃんを救ってきた入江くんですから琴子ちゃんに何かあった時は必ず手を差し伸べてくれると信じて創作しています(何故が他人事www)
いつも行き当たりばったりな創作なので書くまで私もどう進んでいくか分からないっていう感じなのですが(オイっ)最後まで見守って頂ければと思います(^_^)
いつも温かいお言葉感謝いたします。ありがとうございますm(_ _)m
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