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Strawberry shortcake -2-

続きです。
前編から随分間があいてしまいました。先週から結構酷い頭痛がありましてどうも創作する気になれずダラダラしておりました。今もまだズンズン(?)しますが大丈夫です(*^_^*)


前編はめちゃ短かったですが後編はちょっと長めです。


ではでは、続きをどうぞ~♪



・・・・・・・・・・・・・・・・・




 「どーぞ。」

 「ありがとう。」


 琴子がおれにコーヒーを淹れてくれたお礼、ではないが琴子が飲むカフェオレを作りテーブルに置く。
 いつも琴子が飲んでいる砂糖とミルクの配分を聞いたら角砂糖3つにコーヒーとミルクの割合が3:7だなんて最早これはコーヒーの部類ではない。
 ミルクを入れてしまった時点でコーヒー独特の漆黒色も香りも別のものに変わる。


 リビングに入れば誰もいなかった。
 琴子曰く、おふくろは近所の家に入り浸っていて裕樹は宿題を持って友達の家に出掛けて行ったらしい。
 テレビも何もついていない時計の秒針が響くリビングにはおれと琴子の二人きり。

 おれは琴子の正面に座り、氷が溶けて二層になりつつあるコーヒーをマドラーで軽く混ぜて口を付けた。
 カランっと氷の音と共に冷え切った液体が喉を通っていく。息を吐くと何とも言えない爽快感が身体を駆け巡る。


 「なぁ、この箱、何?」


 ふぅ、と一息吐いて改めて目の前の箱に指をさす。

 
 「えっと、ケーキ?」

 「そんなこと言われなくても分かってる。おれが聞きたいのはなんでおれになんだよ。」


 同居し始めて数ヶ月。
 ある程度おれの食べ物の好みは分かっているはず。好きだ好きだと追いかけてくる琴子なら尚更のこと。
 おれは琴子の考えていることが分からない。


 「甘い物食べると元気になれるから?」

 「は?」

 「疲れているときとか辛いことがあった時にケーキを食べると元気にならない?」

 「・・・。」


 全く理解できない。
 きっとそれは元来からの甘党であるが故の感覚であって、甘い物を避けて通ってきたおれには持ち合わせていない感覚なのだ。


 「ケーキ屋さんのショーケースにはいろんなケーキが並んでいるじゃない?全部買うことは出来ないけれど柔らかそうなスポンジとクリームの上にカラフルなフルーツがいっぱい乗ったキラキラ輝いてるケーキを見てると嬉しくなるの。」


 言葉の通り嬉しそうに顔を綻ばせながら琴子は小さな箱を開けた。
 するとそこには今琴子が話していた内容とは真逆に位置するものが入っていた。


 白いクリームで覆われ、その中央の天辺にに赤い苺が乗せられている。ケーキの中で王道と呼ばれるもの。
 しかも一切れ。
 「何これ」という小さなおれの呟きに返ってきた答えは「うん、苺のショートケーキだね。」
 おまえ、おれを馬鹿にしてんのか?!


 「おまえ、説得力ねーな。さっきの話からしたらこのケーキのチョイスは間違ってんだろ。」


 
 琴子はさっき言ったはず。
 色とりどりのケーキを見ていると嬉しくなると。
 その話からすれば今ここにあるべきケーキはタルトやゼリーの方が合っているはず。
 なのに何故ほぼ白と赤が占めているケーキなのだろうか。
 こんなシンプルなケーキ、なんの効果があるのだろう。
 ワケわかんねぇ、そう呟くと琴子はエヘヘと笑った。


 「あたし、ケーキの中で一番このケーキが好き。」


 「は?!」


 結局は琴子の好み優先で選んだってことか?
 それじゃあさっきの話は全く意味を成さなくなる。
 そろそろ文句の1つでも言ってやろうかと口を開いた瞬間、目の前にケーキが置かれたので何となくタイミングというものを失ってしまった。


 「確かに入江くんの言う通り、見た目が鮮やかなケーキを買ってくるべきだと思うんだけど、でもショートケーキだって十分威力はあるんだよ?」

 「なにそれ。」

 「この真っ白なケーキを見ていると自分の中にある嫌な気持ちとかモヤモヤしたものとかが無くなっていく様な気がしてだんだん落ち着いてくるというか。」

 「・・・」

 「優しい気持ちになれるというか・・・。」

 「・・・。」

 「・・・アレ?そんな気持ちにならない?あたしだけ・・・?」


 そもそもケーキという存在自体おれにとっては苦手で不必要な存在だからそんなものに対してそういう見方をしたことがない。だから琴子が主張するものを理解することはなかなか難しい。
 まぁ、確かに新しい見解にだからそういうものかと思えばそう思えるのだが、正直に「よく分からない」と答えると「そっか。」と琴子は笑った。


 「ごめんね。本当はもっと伝わるようにホールケーキを買って行きたかったんだけど、その、今月は余裕が無くて・・・。」


 申し訳なさそうに琴子は笑いながらポリポリと頭を掻く。
 いや、別に1カットだろうがホールだろうが根本から理解できないおれにはそこはこだわるところでは無いと思うのだが・・・なんて思いながら琴子から視線を落とすとそこには真っ白なケーキが鎮座している。


 「・・・何も聞かないんだな。」


 学校の廊下で会ったとき、琴子だけがおれの変化に気付いたようだった。
 だからこそ琴子はおれを引き留めた。
 何も言うことはなかったけれど、おれの奥を見透かし、何か言いたげな表情が全てを語っていた。
 いつもの琴子の性格からすれば鬱陶しいくらいに問いつめてきそうだったのに何も聞いてこず、その代わりと出てきたのは遠回しに元気を出せという気持ちのこもったショートケーキだった。


 「・・・入江くんは・・・何でも出来るから。だからこそ大変なことがいっぱいあるんだって一緒に住んでみて分かったから。」

 「・・・。」

 「あたし、お馬鹿だからなんにも出来ないし困ってる入江くんを助けてあげることも出来ないけど、でもあたしはいつも入江くんの味方だよっていうのは知って欲しいなって思って・・・。」

 「・・・で、その気持ちがケーキになったと。」

 「う・・・甘いのに苦手ないりえくんには迷惑な話だよね・・・。」


 さっきまで身振り手振り全開で宣言して語っていた癖に、今ではすっかり自信なさげに小さくなっている。
 でも、表情だけでなく身体全部を使って自分の思いを伝えようとする姿はおれには無いものだ。


 「ありがたく貰うよ。」


 おれはケーキの尖った先端部分をフォークで掬い口に入れた。
 甘さ控えめな生クリームにふわふわのスポンジ。中にサンドしてある苺の酸味とも良く合っていて食べやすい。


 「お、美味しい?」
 
 「ん、食いやすい。」


 心配そうに尋ねてくる琴子に正直な感想を述べると「良かったぁ」と顔を綻ばせた。その頬はほんのり赤い。
 そしておれは真ん中にある苺と下のケーキ部分を絡ませながら掬うと琴子の前に差し出す。


 「おまえも食えよ。」

 「へ?」

 「美味いし食いやすいけど、やっぱりおれには一個はキツイ。だから買ってきた責任としておまえも食え。」

 「えぇ?! え・・・あ・・・あの・・・」

 「はい、あーーーーーん。」

 「えっあ、あーーーーー  むぐっっ!!」


 戸惑いながらおれの誘導にしっかりと乗って口を開けてきた琴子にケーキを押し込む。
 さっきおれが食べたケーキより一回り大きいケーキはしっかりと琴子の口の周りに付いている。
 口の端にクリームを目一杯付け、いつまでも咀嚼している様子はまるでハムスターの様。


 「・・・ぶっ!」

 「ん゛~~~~~!!!!」


 思わず吹き出したら琴子は酷いと言わんばかりに抗議してくる。
 面白い奴。
 おれは腕を伸ばし親指で顔に付いたクリームを拭ってやるとそれをペロリと舐めてやった。
 するとますます琴子の頬は赤くなる。


 「ぶぶっ!!顔真っ赤!!」

 「なっ・・・な・・・!!///」

 「ほら、コーヒー飲んで落ち着けば?」


 おれがケーキの上に乗っていた苺より真っ赤な琴子にカフェオレを差し出すとこれまた琴子は条件反射でそれを受け取った。けれどちっとも落ち着いていない様で、琴子のカフェオレはカタカタと小刻みに揺れか細い波紋を作り出している。


 「ぶっ!!」

 「もう!入江くんの馬鹿!!」


 琴子は耐えきれなくなったのかおれに向かって馬鹿と言い放った。
 おまえに馬鹿と言われるのは心外のなにものでもないが、琴子の反応が可笑しくて怒る気にもならない。
 それから琴子はカフェオレを勢いよく飲み干すと大きな音を立てて立ち上がった。


 「もう入江くんなんて知らないんだからね!!」


 少々からかい過ぎたようで琴子の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
 琴子は怒りながら飲んでいたグラスをシンクに置き、リビングから出て行こうとしていた。
 そんな琴子に「琴子。」と呼び止める。
 何も返事はないがピタリと足は止まった。


 「おれ、チーズケーキなら1カットいけるかも。」


 残りのケーキを掬い口に入れる。
 デコレーションされている端の部分は生クリームが多く口いっぱいに甘さが支配していく。
 それをコーヒーで口直ししながら全てを食べ終えるとおれも使った食器をシンクに置いた。


 「美味かった。サンキューな。」


 未だ立ち止まったままの琴子の横をすり抜けるのと同時にお礼を共に頭を撫でてやる。
 ずっと俯いたままだった琴子はすっと顔を上げた。

 色白の肌に浮かぶのは真っ赤に染まった頬と潤んで充血した大きな目。


 「おまえって苺のショートケーキみたいだな。」






 



 気がつけばあれ程カタカタと鳴り響いていた身体の中の箱はいつの間にか鎮まっていて鳴りを潜めていた。 
 自分ではどうしようもなくただ自然に治まるのをただずっと耐えることしか出来なかったのにそれを鎮めてくれたのは琴子だった。
 おれでは思いつかない様な方法で鎮めてくれた琴子はやっぱりただものではない。

 何をするにも振り回される身であるおれにとって琴子という存在は「苦手」なものでしか無いのは変わらないのだけれど、それでも少しだけ・・・少しだけ琴子という存在の見方が変わった気がする。




 おれになくて琴子が持っているもの。
 きっとおれはそれらを手に入れることはとても難しいけれど、これからも琴子が近くにいれば大丈夫・・・そう思ってしまった事に気付くのはまだまだ先の事――――――――





 《END》




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 お付き合いありがとうございました。

 なんだかよく分からないお話になってしまいましたがそれはいつものことなので大丈夫ですよね(^_^;)
 でも無自覚バカップルは健在って事で・・・ね?それでお許し頂ければと思いますm(_ _)m


 世間は今週で学校も終わり、来週は恐怖の夏休み~~(>_<)
 あぁ・・・今年も近所中に私の怒号が響き渡るのね・・・(涙)

 これからますます暑くなりますね、皆さんも熱中症などには十分お気をつけ下さいね(^_^)

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アラカンおばばさま。

こんにちは☆

拍手コメントありがとうございます♪

暑中お見舞い申し上げますm(_ _)m
アラカンおばばさんのお住まいの地域はゲリラ豪雨で大変だという報道をよく拝見しますが大丈夫ですか?
私の地域は意外と落ち着いていてただ暑いばかりです。
程々の雨は必要だとは思うのですが極端すぎますよね(^_^;)
こんな不安定な天気は温暖化の影響もあるんでしょうね・・・。

そして、イリコトのお話を(^_^)
高校入学からずっと思いを寄せていただけあって入江くんの小さな変化も見逃さない琴子ちゃん。もう愛の力ですよ♪
一緒に住むようになってからは特に入江くんの取り巻く事情も分かってきて感じることも多いのではないかと考えたらこんなお話が出来ました。
大好きな人のことは特に敏感に感じるもの。琴子ちゃんの人間性なら尚のことのだと思います。
そんな琴子ちゃんだから入江くんの心にもとまったんですよね♪
雨繋がりで「君と二人~」のお話も読んで下さってとても嬉しいです♪
このお話は当ブログの中で一番多く拍手を頂いております(^_^)
1年経っても読み返して下さって本当に嬉しいです。
なかなか活動出来ない私にいつもお優しい言葉を掛けて下さって感謝でいっぱいです。ありがとうございますm(_ _)m

Re: たまちさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

あはは(笑)たまちさんも入江くんと同じ感覚をお持ちなんですね(^_^)
という私はこんなコーヒー話を書いておきながら琴子ちゃん派でして・・・(^_^;)
ブラックは全く飲めません(>_<)なのでブラックを美味しいと飲める方を見ると「カッコイイ~」と思ってしまいます。というか最近漸くカフェオレが飲めるようになりました(大汗)

今まで感情を出すことなく過ごしてきた入江くんだけにいろんな事も「あの入江に限って~」と言われてきたことも多いと思うんです。でも琴子ちゃんだけはちゃんと見てくれている。だからこそ入江くんも自覚が無いながらも少しずつ心が開いていくことが出来たし、我が儘も言えるようになってきたんですよね。
それってやっぱり入江くんにとってはもの凄い大きな衝撃で琴子ちゃんは特別な存在で奇跡ですよね~!!そう思うとやっぱりこの2人の出会いは運命だわ~(*^_^*)って私だけが盛り上がっていますね(^_^;)

夏休み。始まってまだ一週間経ちませんが、もうギブ!(笑)
小さいときも大変ですが、進路を考えなければいけない時期の夏休みもとても大変ですよね!たまちさんもお疲れ様です!
長い長い夏休み!頑張っていきましょうね(^^)/

Re: ひろみさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

わたしも同じですよ~。
頭では分かって気付いていたとしてもそれを行動に移すというのはなかなか出来ることでは無いと思います。
でもそれを普通にやってのける琴子ちゃんというのは凄く素敵な女の子ですよね♪
こちらこそ私の拙い創作でそう感じて思っていただけてとても光栄です♪
ありがとうございますm(_ _)m 
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 また、作者様、出版社様、その他関係者様とは一切関係ありません。

 管理人の創作で少しでも笑顔になれたら嬉しいです。
 皆様がHAPPYになりますように。

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