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研修医の小さな決意。

和尚さん人気記念という事で安田君メインで進んでいきます。
入江くん絡みのお話には違いないですが出番は少しだけです。
それでも大丈夫な方はお付き合い下さい♪




・・・・・・・・・・・・・・・
 











 梅雨。
 今日も朝からめっちゃ雨。
 今年は気象観測が始まって3番目に早い梅雨入りやってテレビで言っとった。
 こういう日はどことなく気分も盛りあがらへん。ジトジトした空気が顔にまとわりつきよるし、書類がしなしな。こんな日が続くと夏が恋しなる。けど夏が来たら来たで秋が恋しなるから一緒か。
 関西人やってわけやないけどこういう時ほど盛り上がってなんぼや思う俺はテンション高めに「おはようございます~」と医局に入った。んやけど医局の空気は梅雨独特の気候よりどんよりしとった。
 なんや?

 職業柄やり甲斐はあると思うんやけど決して良いことが多い仕事ちゃうし、どっちかというと辛いとか悲しいって事の方が多い。人の命を預かることは決して楽ではない。けれど患者さんの笑顔や元気になって退院していく人を見送ると、その人に少しでも力になることが出来たんやと嬉しくなる。
 でも・・・もしかしたら夜中に患者さんが亡くなってしまったのかもしれへん。俺はそう予想しながら挨拶を返してくれた先輩を捕まえて何かあったんですか?と尋ねた。

 
 「いや・・・患者さんはみんな順調で何にも問題あらへん。」

 「ほんなら、このどんよりとキノコが生えそうな空気は何ですの?」

 「しっ!安田、もっと小さくしゃべらんかい!」

 「はぁ?」


 そういうと先輩は俺の腕を掴んで廊下へ出た。なんやねん。
 

 「ほれ、お前と同期の研修医おるやろ。」

 「あ、あぁ入江先生ですか。」

 「だから声大きいねん!空気読まんかい!」


 そう言って先輩はボディブローをかましてきた。
 なんやねん!ワケ分からんし。


 「なんなんですか?!入江先生がどない・・・」

 「や、どうっちゅうわけやないんやけどな。昨日辺りからこう醸し出すオーラみたいなもんがめっちゃ怖いねん。」

 「・・・はぁ。」

 「安田、お前なんか心当たりあるか?もしあるんやったらなんとかしてくれ!!」

 「なんとかって・・・昨日先輩一緒に仕事してたんなら先輩の方が分かるんちゃいます?」

 
 だって俺は昨日久々の休みやったし。


 「俺は昨日ずっとオペ入っとって入江とは一緒におらんかったんや。オペから戻ってきたらあんな調子で・・・もともと入江は喋る方やないから見た目ではあんま分からんけど、醸し出すオーラっちゅうの?めっちゃどす黒いんや!だから頼む!このとーりや!」

 「・・・はぁ。」


 いつもはビシッとした姿勢で患者さんと向き合うてる先輩だけにこのギャップに戸惑う俺。
 ってゆーか!そんな先輩をここまで怯えさす入江先生ってどないやねん!!
 手を合わして必死に頼んでくる先輩を見て俺は溜め息を零した。


 入江先生が不機嫌になる理由なんて1つに決まってるやん。

 
 奥さん欠乏症やろ。


 少し前に聞いた入江先生のデレ声。
 そん時は電話やったけど普段雑貨店に売っとる宴会用の大仏のかぶりもんみたいな顔の入江先生を一瞬で変えてしまうその人は入江先生の奥さん。えーと確か「琴子」さんや。
 確かこの前こっちに来てはったとかなんとか。
 あのおてんば奈美ちゃんを説得して帰っていった奥さんはちょっとした伝説や。
 一度会うてみたいと思うけど、そんなこと入江先生に言おうもんなら間違いなくあの世に送られること間違いナシや!
 ってこんなん自信持って言うことちゃうんやけどな。 


 「先輩、入江先生が何でも出来る人やからて最近何でも仕事任せてません?」

 「え?」

 「それに入江先生、最近ちゃんとお家にも帰ってへんみたいやし。」

 「あ、あぁ。」

 「そりゃ、怒るまでいかんにしろ不機嫌になりますよ。研修医は休みない事くらい入江先生だって分かってはると思いますけど、いくら天才でも限界あると思いますし。」


 そう言いながらさっきの医局の中を思い出す。
 入江先生は当直明けにも関わらずPC作業をしてはった。
 多分、入江先生に頼んだ方が仕事が早う片付くのを知って誰かが頼んだんやろう。
 先輩は俺の言葉に「そうやな。」と認めた。


 「研修医の分際でこんな事言うのもアレですが、今すぐにでも入江先生を家に帰してあげたらええと思いますよ?しかもなるべく明日の朝まで呼び出しせん事です。そしたら多少ちゃうかもしれませんね。」

 「はぁ・・・。」

 「天才はキレると怖いですから。」

 
 デレるとある意味もっと凄いけど。
 

 入江先生の嫁溺愛っぷりはあっちに置いといて先輩にアドバイスをすると「分かった」と言い残しさっさと医局に戻っていった。

 窓越しに覗くと先輩が必死に入江先生に帰るように説得しとる。
 つーか、先輩をあそこまでさせるって入江先生ってなんちゅう強者なんや・・・。


 はは~ん。多分昨日入江先生のオカンから医局に電話でもあったんやろ。
 最近家にも帰ってへんし、寂しがっている奥さんの代わりに「たまには奥さん孝行してあげなさ~い」とか「夫失格よ~」とか言われたんやろうな。

 あんまり表情を表に出さへんから分かり辛い思うけど、入江先生かて十分寂しい思ってると思うんやけどなぁ。

 でも、今日マンション帰って、奥さんの声聞いたら多少機嫌も良くなるやろ。

 おれって結構良い仕事したんちゃうの?!


 なんて廊下で自画自賛しとったら入江先生が医局から出てきた。 


 「お先に失礼します。安田先生。」

 「お、おお。お疲れさん。大丈夫?入江先生」

 「何がです?」

 「何って顔色あんまり良くないで?帰ったらちゃんと睡眠取らないかんで!寂しいのも分かるけど。」

 「・・・なんの話ですか・・・。」

 「何って・・・電話かかって来たんやろ?オカンから。」

 「・・・。」


 うわわわわっ!こんだけのやりとりだけで入江先生の不機嫌さがめっちゃ伝わってくる。
 って分かっとるのに敢えて聞く俺も俺やけどな。
 けど、何も言わんけど「そうです。」って顔に書いてるわ。 



 でもまぁ、明日になれば元通りや。


 「早う夏休みが来たら良いですね。」

  
 去り際に入江先生に声を掛ける。すると入江先生からは―――


 「近くにいたらもっと辛いからこのままの方が良いのかもしれません。」

 「へ?」

 「お疲れ様でした。」







 近くにいたらもっと会いたくなるからすぐに会えへんくらいが丁度ええってそう言うことか?




 




 
 入江先生と交代で医局に入ると先輩が俺にどっさり書類を渡してきよった。


 「ほれ、これ頼むわ。」

 「はい?」

 「研修医の仕事は研修医でカバーしあうっていうんがお互いの結束を高める近道や。」

 「はぁ?」


 てこれ、俺達の仕事やなくて先輩らの仕事やん!!
 俺、全く関係なくね?!
 
 
 「ほんなら頼むで!未来の敏腕名医!」

 「ああ~~~!!!」


 そう言うと先輩は思いっきり俺の背中を叩いて回診へ向かっていった。
 めっちゃ痛い背中へのビンタの衝撃で書類がハラハラと床に散らばる。 

 
 なんなん?!
 俺、なんなん!?


 静まりかえった医局に俺1人。
 ただでさえ俺仕事こなすん遅いのに?!?!やること山積みなのに?!


 入江先生が残していった書類と自分の机に山積みされとる書類の山。
 俺は一体いつ家に帰ることが出来るんやろうか。
 確かに俺は入江先生みたいに奥さんおれへんし先輩みたいに独り立ちかてできてへんけど。これ、ただのとばっちりちゃうの?!

 終わりが全く見えてこん仕事の山に俺は意識がぶっ飛びそうになった。


 
 クソっ 天才はええなぁ・・・。
 愛する人がおるってええなぁ・・・。


 でも、明日ご機嫌で出勤するかもしれへん入江先生を想像すると意外と先生も単純なんやなって笑ってもうた。
 天才も恋愛は苦手なんやな・・・。
 声聞くだけでも元気になるかもしれへん。

 こうなったらこっそり入江先生の観察日記でもつけたろかっ

 その名も『ツンデレ観察日記』


 めっちゃおもろいやん。


 休憩時間にでも売店でノート買うてこよー。
 

 そうして俺の入江先生観察の日々が始まった。


 




 《END》 
 
 
 入江くん、出番殆どナシ(笑)

 気が向いたらその後もあるとかないとか・・・?
 しかし、入江くんの観察日記どうやって付けるんだろう・・・(^_^;)
 ちょっと気になる(笑)

 お付き合い、ありがとうございました。 

 
 

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Re: たまちさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

安田くんが癒しだなんて何て嬉しいコメントを♪
確かに入江くんは感情1つ出さない子なので分かりづらいですがコツさえ掴めばめっちゃ分かりやすい人間ですよね(*^_^*)
和尚さんは誰よりも、ある意味琴子ちゃんよりも分かってると思います。
観察日記はおいおい書いていけたらと思っていますので♪
何か良いネタありましたら是非教えてくださいね♪

いつも素敵なお話しありがとうございます!
最近また過去作品読み返しています!素晴らしい作品ばかりです~

是非和尚さんの入江君の観察日記、読んでみたいです(*^ー^)ノ♪

神戸は、琴子ちゃんがすぐそばにいないので、きっとたくさんのお誘いがあったり、罠にはめられそうになったり(看護師や女性医師など)…キャハ(*≧∀≦*)
それをこっそり覗き見してる和尚さん…
なにげに助けてくれたりしてるのかな…?
この、オリキャラ本当に大好きです!

Re: kururuさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

過去作、読み返してくださっているとのこと。ちょっと恥ずかし~!!ってなりつつもとても嬉しいです♪
観察日記なんですが、1行日記みたいに淡々としたものが良いか、1日1日を事細かく綴った方がいいのか考えたことがありまして、そうしてたら力尽きた過去があります(笑)
有り難いことに安田くんを可愛がってくださる方が多いのでいずれ登場させようと思っております。
神戸編は空白の1年なので妄想し甲斐のある期間!!
いろいろ脳内で展開していこうと思います!!
誘惑ネタいですよね(笑)
いただいて帰ります(笑)

これから少し時間に余裕が出てきそうなのでボチボチとリハビリしていきますね♪
ありがとうございましたm(_ _)m
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