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愛のある看病

 



 先ほどはご迷惑おかけしました。
 
 下書きを読んだ方はもうご存じの事と思いますが、このお話は『高熱と本音』の続きになります。
  
 
 





 「入江くぅ~ん おかゆ持ってきたよ~。」


 ノック音が聞こえた瞬間、お構いなしに ばぁ~~ん! と部屋のドアを開けた琴子に直樹は無言の睨みを飛ばした。




 昨日の昼休み。わざとではないが、気にも留めていなかった体調不良が琴子にばれ、5.6限目は保健室で休んだ後『一緒に帰るっ』と言い張った琴子と帰宅をした直樹。
 帰るところは同じでも滅多に一緒に帰らない二人がどんな理由であれ、一緒に帰ってきたのだ。
 それを見た紀子は大層喜んだ。


 『もうっ お兄ちゃんったら、一緒に帰るんだったらデートの一つでもしてきなさいっ 本当に気が利かないんだから!!』

 
 病人の直樹を責めつつ 祝☆一緒に帰ってきた記念! とはしゃぎながら、しきりにカメラのシャッターを切る紀子。
 保健室で計ったときには39度を超えていた直樹を早く横にさせてあげたい琴子は 『お、おばさん』と止めようとするが耳に入らず。
 珍しく反抗せずおとなしく写真を撮られている直樹はそれほど身体が辛いのだ。
 もやは怒鳴る気力さえ残っていないようで無表情で『もう寝る。』と言うとさっさと自室へ入ってしまった。

 それから直樹は食事も水分も摂らず。お風呂さえ入る事無くずっと眠り続けた。
 浮かれていた紀子もさすがに心配になりつつある。
 琴子に至ってはもう心配で心配で、半泣き状態だ。
 時間を見計らっては直樹の部屋を覗き、額のタオルや氷枕を変えたり出来る看病をしていた。





 そして。
 一夜明けた今日、創立記念日で休みの琴子は予定していたじん子達との約束をキャンセルし、一日直樹のお世話をするぞっっと気合いを入れて食事を持ってきたのだった。


 「はい。昨日帰ってからずっとご飯食べなかったでしょう? だからお腹に優しい愛情たっぷりのおかゆだよ。」

 「誰の愛情が入ってんだ・・・出来とモノによっては拒否すんぞ。」

 「おかゆはおばさんが作ったのよ。あたしも作ったけど失敗したの。
 だからあたしはたっぷりの愛情をこめて器に盛ったの。」

 「なら食えるな。 愛情はかなり余計だけど。」


 直樹は枕を背もたれにして座るとおかゆを食べ始めた。
 「ふぅふぅして食べさせてあげるっ」との琴子のお気遣いは速攻に却下して。
 黙々と食べる直樹に琴子はうっとり・・・と見つめていた。


 「なに、食べたいの? やらねーぞ。」

 「そ、そんなんじゃないもん。ただ、お母さんのおかゆって幸せな味がするんだろうなって。
 お父さんのおかゆももちろん美味しいけど、あたしお母さんのおかゆの味ってあんまり覚えてなくって。」

 「・・・。」

 
 直樹のベッドに頬杖をついて笑みを浮かべているその顔はどことなく寂しげだ。
 母親が亡くなったのは幼いとき。
 子供のころ風邪をひいた時、重雄は仕事できっと家で一人寝ていたのだろう。


 「別に。おかゆなんてどこも同じ味だろ。」

 「そういうもの?」

 「そういうもん。」


 直樹は ごちそうさま。と琴子に器を渡す。
 自分が作っていないのに空になった器を見て満足そうに笑みを浮かべて部屋を出て行く琴子に「変な奴。」と呟いた。


 それから琴子は甲斐甲斐しく直樹の世話をする。
 氷枕とタオルの交換や汗をかいたであろうパジャマの着替えとシーツ交換まで。
 あんまりちょくちょく顔を出してくるのでいい加減鬱陶しいと思うのだが、嬉しそうにやっているのを見て、呆れつつも何も言わなかった。
 そんな様子を紀子は直樹の看病を全て琴子に任せ温かく(?)見守る。


 「いいわっ 素敵よっ 琴子ちゃん!! 若奥様みたいよ~。
 あ~ん、早く琴子ちゃんがお嫁さんに来ないかしら~。お兄ちゃんも奥手なんだから、早くプロポーズしちゃえばいいのに!!」

 「お、おばさん・・・。」


 プロポーズって・・・。
 恋人にもなっていないし、まともに相手にもされてもいない。それなのにプロポーズってあり得ない話だと思う。
 紀子には実の娘の様に可愛がってくれるのでありがたいと常に思うけれど。


 「琴子ちゃんっ もし琴子ちゃんが熱を出す事があったらお兄ちゃんに看病してもらなさいなっ
 そこから生まれる愛!! 素敵じゃないの!!!」

 「は・・・はぁ・・・。」


 応援してもらえるのはすごく嬉しいけれど、さっきから家中に響き渡る紀子の声は2階にいる直樹に筒抜けだろう。
 いつもなら「なに言ってんだ!」と怒鳴り込んでくるだろうが、今日は幸いというか救いというか、風邪のためにその気配はない。




 「っくしゅんっ」

 「あら~? 琴子ちゃん、早速風邪かしら?
 お兄ちゃんの風邪をこんなに早く貰っちゃうなんて本当は仲良しなのねっ
 貰っちゃうようなこと、どんどんしちゃって良いのよ!! 琴子ちゃん!!!」


 そんなっ滅相もないです! と真っ赤な顔になって全身で否定する琴子。
 
 そりゃあ、そうなったら幸せすぎるけれど。

 けど、このくしゃみは風邪じゃなくって入江くんがベッドの中で怒っているからだ。
 熱が下がっていつもの直樹に戻ったらまた何を言われるかわからない。
 元気になってくれるのはとっても嬉しいけれど、それを想像すると、ゾクゾクっと背筋が凍るような気がしたのだった。

                                      《END》





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 無事に終わりました(ほっ)

 このお話は 無自覚シリーズ として書き始めたのですが、なんか違う・・・。とアップするのを迷っていました。
 でも、事故の様にチョイ出ししてしまったので、アップさせて頂きました。
 琴子の看病よりも紀子ママの方が目立ってしまいましたね・・・。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。


                  そして、また続く・・・。

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りー さま。

このお話の下書きを出すという失態をおかした際には温かい励ましのお言葉ありがとうございました。
おかげさまで続いています。

これからも気が向いたら遊びに来てくださいね。
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