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Sharing an umbrella 2

 
 『Sharing an umbrella』結婚後編!!
 頂いたコメントを元に書いてみました~。

 前作に続き、渡辺君にも協力してもらいました~(^_^)





・・・・・・・・・・・・・・・






 真っ黒い雲が空を覆う。


 最近は昔に比べて雷雨や通り雨が多い。


 



 おれは小さな雨粒がどんどん大きくなり本降りになっていくのを動く電車に揺られながら空を見上げた。
 昔は通り雨という名の通り長時間降り続くこともなく暫く経てば青空が再び顔を覗かせていたから傘が無くてもなく何処かの建物の屋根で雨宿りしていれば済んでいた。
 でも今はゲリラ雷雨というだけあってその雨の降り方は凄まじかったりする。
 排水溝は溢れかえって道路が小さな川になり靴にもあっという間に水が入り込んで役に立たなくなるし風まで強い日なんかは傘さえもゴミと化す。
 けれど今日は有り難いことに雨だけで風はそんなに強くはない。
 真っ直ぐに落ちてくる雨、これだったら傘をさして行けるだろう。

 おれは改札抜けて鞄に入っている折りたたみ傘を出しながら歩いていると少し離れたところに懐かしい姿を見つけた。


 華奢で綺麗な栗色の長い髪の女の子・・・。


 「琴子ちゃん?」


 そう思うのと同時に声に出してしまったおれ。
 その女の子にも届いたようでクルッと振り返ってきた。


 「あー!!渡辺さんだー!!」


 おれの顔をみて懐かしそうに笑ったのはやっぱり琴子ちゃんだった。










 久しぶりに会ったというのもあって雨が止むのを待ちながら琴子ちゃんと話をすることにした。
 琴子ちゃんも見た感じでは雨宿りをしているようだし。


 「琴子ちゃん、看護婦になるんだ。」

 「はいっ」


 琴子ちゃんは嬉しそうに笑った。
 確か最後にあったのは・・・そう、琴子ちゃんが大学の単位を落として入江とケンカして家出した時。
 あの時琴子ちゃんはこれからの自分の進路に悩んで模索している途中だった。
 でも今は看護婦の卵。
 選んだ進路を聞いてやっぱりな、と納得してしまった。

 
 「渡辺さん、あたしのこと無謀だなって思ってるでしょう?」

 「いいや?琴子ちゃんらしいなって思ったよ。琴子ちゃんはやっぱり入江と同じ医療系を選んだんだね。」


 琴子ちゃんはおれの言葉に満面の笑みを返してくれた。


 「あたし。あれからいろいろ考えてやっぱり辿り着く答えは入江くん隣にいることで。F組のあたしが看護婦なんてって自分でも思ったけど諦められなかったの。でもね入江くんはそんな無謀なあたしの考えに反対するどころか頑張れって言ってくれたんだよ。予想通り失敗続きで迷惑ばっかりで足引っ張ってばかりだけど入江くんはあたしのこと信じてくれてるんだ。」

 支えてあげられる日はまだまだ遠い道のりで厳しいけどね。


 そう言って琴子ちゃんはエヘヘと笑った。


 恥ずかしそうに笑っている琴子ちゃんだけどその目は決意が滲み出ていて力強い。
 生半可な気持ちで立ち向かってなどいない事が直ぐに伝わってきた。


 「そういえば入江は?」

 「はいっ!お陰様でスーパー医師道に向かって突き進んでいますよ!!」

 
 おれは今日は何してるの?って聞いたつもりだったんだけど琴子ちゃんは入江の近況を教えてくれた。
 小さな手をグッと握りしめて自信満々に答えてくれる。
 きっと自分のことのように嬉しいんだろうな。


 「今日は入江と一緒じゃないの?」

 「本当は一緒に帰る予定だったんだけど授業が休講になったって先に帰っちゃいました。」


 相変わらずの入江の態度が垣間見えておれは可笑しくなった。

 
 「こういう時とかは迎えに来てくれたらいいのにね。」

 「う~ん・・・どうかなぁ?入江くん本屋さんに寄ってから帰るって言ってたから。もしかしたら入江くんずっと本に夢中になって雨も気付いていないかも?!入江くん、大丈夫かなぁ?」

 「琴子ちゃん・・・。」


 やっぱり入江が一番なんだな。
 琴子ちゃんだって同じ境遇なのに入江をまず心配するなんてさ。結婚しても入江と琴子ちゃんの関係が今も変わっていないことが分かるとおれは妙にホッとしてしまった。


 「だったらこれから入江が行ってる本屋に行く?実はおれもその本屋に行く予定だったんだよ。もし良かったら一緒にどう?」


 おれが琴子ちゃんに提案すると「え?」と驚いた顔をしていた。
 その顔は高3の時の姿そのままだ。


 「で、でも渡辺さん悪いよ。」


 断り方も変わってない。


 「琴子ちゃん、そんなに警戒しなくても良いよ。本屋に行くのは本当だしおれも久しぶりに入江にも会いたいと思ってるんだ。」


 入江と最後に会ったのは入江の結婚式だし。
 男同士は女の子みたいにしょっちゅう電話や手紙のやりとりもする訳じゃないからこういう機会がないと本当に疎遠になりやすい。
 だからこんな機会ないと思って琴子ちゃんに持ちかけたんだけど琴子ちゃんはおれの提案にしばらく考え込んでいた。
 きっと人妻として考えることがあるのかもしれない。


 「渡辺さん、あたし・・・―――――――」







 「琴子。」


 琴子ちゃんがおれに返事をしようと口を開いたとき、少し遠くから琴子ちゃんを呼ぶ声がした。
 その声の主はおれだって分かるんだから琴子ちゃんは言うまでもない。


 「入江くーーん!!」

 
 琴子ちゃんは入江の姿をしっかり認識すると降る雨も飛び跳ねる雨水もを気にすることなく外へ飛び出し入江の元へ走り出した。
 入江はそんな琴子ちゃんを自分の傘に入れるとおれの方へ歩いてきた。

 
 「渡辺?」

 「久しぶりだな、入江元気そうで何よりだよ。」

 「渡辺も。」


 結婚式以来に会う入江はあの時よりも精悍さが増しているようで男としての魅力が更に増しているような気がする。
 昔からイイ男ではあったけどますます磨きがかかったな。
 その隣では琴子ちゃんがニコニコとご機嫌に笑って寄り添っている。


 「琴子、あんまりくっつくな。暑苦しい。」

 「だって雨に濡れちゃう。」

 「自業自得だから少しは濡れとけ。」

 「え?!ひどっ!」


 やっぱり変わらない2人のやりとりにおれは懐かしくて思わず笑ってしまう。
 

 「渡辺は珍しいな、ここの駅にいるなんて。」

 「あぁ、ちょっと駅前の本屋に用事でね。行く途中に雨宿りしている琴子ちゃんに会ったんだよ。入江は?琴子ちゃんから入江も本屋に行くって聞いてたけど。」

 「おれはもう済んだよ。天気も怪しかったから直ぐに帰ったんだよ。」


 入江は少しだけ傘を傾けて雨雲を見上げた。
 雨雲はさっきよりも薄くなっていて空も少し明るくなりつつある。
 おれも入江につられるように空を見上げていると隣でおれ達のやりとりを聞いていた琴子ちゃんが入江の袖をツンと引っ張った。

 
 「あのね、さっき渡辺さんと一緒に雨宿りをしているときに一緒に本屋さんに行こうかって話してたんだよ。渡辺さんの傘に入れて貰って。」


 こ、琴子ちゃん・・・最後の台詞は余計だっ。
 案の定琴子ちゃんの言葉に入江の顔つきが変わった。
 すごーく面白くないって顔をして「ふぅーん」って呟いている。
 このあからさまな態度は・・・あの時よりも磨きがかかっているなぁ。
 

 















 「じゃあな、渡辺。またゆっくりと話そうぜ。」

 「あぁ、また連絡するよ。」


 そう言うと入江は琴子ちゃんを傘に入れて歩き出した。
 琴子ちゃんはおれに満面の笑みを零して手を振ってくれた。
 琴子ちゃん、名残惜しそうに何時までも手を振ってくれるのは嬉しいけど余所見ばかりしてると入江に怒られる・・・ってあーあ、怒られてる・・・。
  
 琴子ちゃんが入江の腕に絡みつく。けれど傘をさしている手にしがみつかれて差しづらいのだろう、あっと言う間に琴子ちゃんの手を振りほどいている。
 思いっきり拒否されてうなだれる琴子ちゃん。
 でも入江は傘を反対の手に持ち直すと空いた手でグッと琴子ちゃんを引き寄せた。
 
 ここからじゃ2人の会話は聞こえないけどきっと『仕方がないな』とか『雨に濡れるからさっさとしろ』とか言ってるんだろうな。
 本当に素直じゃないな入江は。

 

 別れる間際におれは入江に敢えて聞いてみた。





 『入江、琴子ちゃんを迎えに来たのにどうして手ぶらなんだ?』

 『コイツ、雨でもどこでも直ぐこけるから。』





 入江の言葉に琴子ちゃんはとっても不満そうな顔をしてたけど、それは傘を持ってこなかった理由にはならないぞ。


 「本当は入江がしたかったんだろ?相合い傘。」



 雨が降っているのに敢えて琴子ちゃんの傘を持ってこなかったのも。
 それなのに差している傘が少し小さめなのも。
 


 


 どんどん小さくなっていく2人の後ろ姿。
 仲良く一つの傘に入っているその姿は高校のあの時とそんなに変わらないけれど伝わってくる雰囲気がやたらと甘い。


 「入江って・・・ムッツリ愛妻家だな。」


 相変わらず素直じゃない親友の姿に少しだけ笑ったおれは持っている1人用の折りたたみ傘を小雨になった空に向けて音を立てて広げた。






     《END》






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  結婚後ver でした(^_^)
 
 お話のネタをくださってありがとうございました♪


  
  

 
 



 

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きゃ~~~~O(≧∇≦)O…何気にコメントしたのを採用してもらって…かなり驚きましたw(゜o゜)w

でも…でも嬉しいです。渡部君目線、大好きなんです(*^-^*)親友にもしっかり嫉妬して器がでかいんだか小さいんだか…そんな入江君が好きなんです( 〃▽〃)
ありがとうございました。ほんとに感激しちゃいました(≧∇≦)

No title

ムッツリ愛妻家最高ーです。
さすが渡辺さん語録!!

こんにちは。
結婚後バージョンまで読めるなんて紀子感激! リクエストして下さった方もそれをドンとお任せと受け止めて下さったnarac様もありがとうございます。

もう入江くんたら良いではないか~(〃'▽'〃) あの冷血入江くんが突然の雨とはいえ琴子ちゃんを迎えに来るなんて~イタキス歴の長い私もその成長ぶりに感涙にむせんでおります。(どれだけ酷い男なんだか)
琴子ちゃんは入江くんが迎えに来てくれるとか期待もしてないんですよね。ただ大好きだから側にいれたら良いだけ。
渡辺さんから見ると入江くんが琴子ちゃんにどれほど惚れてるか分かるから嬉しくなります。
あ~幸せ。

Re: YKママさま。

こんにちは☆

拍手&コメントありがとうございました♪

大丈夫ですよ~(*^_^*)たくさんコメントを読めてとっても嬉しかったです♪
入江くんは結婚前は無自覚故のバカップルですけど結婚後は確信犯ですから(笑)
そんな入江くんと堂々と渡り合えるのは渡辺くんということで(*^_^*)渡辺くんのポジションは入江くんをいじるのには最適でございます♪
また機会があればYKママさんがニヤッとなれるお話を書けたらと思います。

Re: あやさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

こちらこそ素敵なお話のネタをありがとうございます♪
結婚して琴子ちゃんloveだと自覚していても無自覚時代と行動は変わらずな入江くんは久しぶりに会った渡辺くんには衝撃的だったと思いますよ~(^_^;)
自覚後は独占欲めっちゃ強い~!!って(笑)
ホント器が大きいんだか小さいんだか分かりませんね(^_^;)

Re: sassyさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

ムッツリ愛妻家・・・。
家ではドS愛妻家・・・?

無自覚だったりムッツリだったりドSだったり独占欲強かったりで忙しい男、入江直樹(笑)
渡辺くん目線と渡辺くん特権でいろいろ入江くんで遊べるので楽しいです♪
書いてて楽しいのでまた書けたらなって思います♪

Re: 紀子ママさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

わー♪紀子ママさんからの感激コメントにnarack感激でございます!!
確かに無自覚時代では迎えにくる入江くんなんて考えられないかも!!「傘持って行かないおまえが悪いんだ!」とか言ってそれで風邪引いても知らん顔してそうな・・・(鬼?!)
紀子ママさんが仰るとおり琴子ちゃんは入江くんにはそんなこと望んでいないし純粋に会えて嬉しいとかそういう気持ちが一番勝っている純粋妻なんですよね(*^_^*)
こんな琴子ちゃんが可愛くて仕方がないだろ~!と私が渡辺くんの立場だったら入江くんにウリウリとしてやりたいです!!

とらさま。

こんにちは☆

拍手コメントありがとうございます♪

わぁ♪胸キュンしてくださってありがとうございます♪
ムッツリ愛妻家は確信犯でイチャコラしてますよ~(笑)
無自覚だったらそれなりに仕方がないって思えますけど自覚あってのこの行動はもう好きにして・・・(-_-)とこっちが言いたくなっちゃいますよねぇ~。
親友にも牽制するあたり入江くんの深い愛情が見えるような・・・?
これからも遊びに来て下さいね♪

凛さま。

こんにちは☆

拍手コメントありがとうございます♪

過去作からずっと読んでいただきたくさんのコメントも寄せてくださってありがとうございました!!私も楽しく拝見させていただきました♪

そうですよー♪ムッツリ愛妻家ですよー(≧m≦)♪
大好きな癖に全然素直じゃないんだからっ!でもどことなく甘い!!
ツボっていただいて♪書いた甲斐があります~(>▽<)

渡辺くん

渡辺君わかるよ~ウンウン
入江君、ムッツリ愛妻家なんだね。 ガハハ
そうだよね~ 入江君、はたから見たら琴子に惚れてるのが、よ~くわかるね。
いいないいな~ 渡辺君もファイティーン 

Re: じぇぐんよんさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

渡辺くんのムッツリ愛妻家発言に共感してくださってありがとうございます♪
面倒くさそうにしつつも琴子ちゃんの事を大切にしてるっていうのが伝わってホッとしてます♪
楽しんでくださって嬉しいです(^^)
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