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お花見に行こう。 -4-

更新できるときにしておこう!!ということで♪

ラストです(^_^)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 理美とじんこが待つ場所へ直樹が琴子を連れて戻ってきたとき、その姿をみてそれはそれは驚いた。

 琴子は顔も肌も真っ赤にして泣きはらした目をしていて、直樹はいつものように涼しい顔を貫いているけれど下に視線を落とせばしっかりと琴子の手を掴んでいた。いや正確には掴んでいるというより繋いでいる。ふたりの手は指がしっかり絡んでおり世間で言うカップル繋ぎなのだ。


 「ど、どうしちゃったの?!琴子!!」

 
 泣いてることとかラブカップルみたいに手を絡ませていることとかここで待っている間に何がどうしてそうなったのか聞きたいことは山ほどある。
 問いかけられた琴子はまだしゃくり上げていて上手く口を開けないでいて、呼吸を整えている間に口を開いたのは澄ました顔をしている直樹だった。


 「コイツ、案の定迷子になって知らない男に絡まれていたんだ。その上酒を飲まされて泣いてた。」

 「え゛え゛?!」


 なかなか帰ってこないと思ったら、まさかそんな目に遭っていたなんて。迷子は予想がついていてもナンパされたあげくに酒まで飲まされていたなんて・・・。直樹が探しに行ってくれなかったら今頃どうなっていただろうか。
 こんな事になるとは想像もつかなかったとはいえ買い物に行かせてしまった理美とじんこは責任を感じてか一気に顔を青くしていく。そして罰が当たったかのように追い打ちを掛けられる。


 「ご、ごめんね2人とも遅くなっちゃって。お腹すごく空いちゃったよね。」


 琴子は申し訳なさそうな顔で理美とじんこに謝ると大きなお弁当箱の横に露店で買った食べ物を置いた。


 「え?あ・・・あの、あのね琴子。」


 大変な目にあっても友人を気遣う琴子の気持ちは理美とじんこの心に容赦なく貫いていく。
 空腹に耐えきれず、もう既に紀子特製弁当を限界まで胃に入れてしまい他の食べものを受け付ける余裕はない程満腹です。なんて言えるわけがない。
 こんなことなら空腹を我慢して琴子の帰りを待っていれば良かった・・・。
 満腹2人組はしっかり刺さってしまっている心の矢を抜きながら正直に話そうと機会を覗った。
 けれどそんな理美とじんこに更に追い打ちを掛けようとする人物がここに1人―――――。


 「こいつら空腹に負けておふくろの弁当を先に食っちまって満腹だからそんなもん食う余裕なんかねぇよ。友情より食欲を真っ先に選ぶ友人持っておまえも大変だな。」

 「え?」


 見事なまでのストレートな暴露に理美とじんこは言い訳すら思いつかずビシッと固まってしまった。
 確かにそれは間違っていないし事実だけど直樹の口から聞くともの凄い酷いヤツに聞こえてならない。
 これは琴子が怒っても仕方がない、が琴子の反応は真逆だ。


 「そっか・・・良かった。おばさんのお弁当も食べられたんだ。2人とも美味しかった?」

 
 琴子は安心したような表情を浮かべ笑顔を向ける。


 「・・・う、うん。それはもう・・・。ごめんね、琴子。」

 「いいのいいの。だって元はといえばあたしがお弁当を忘れちゃったからこんな事になっちゃったんだから、気にしちゃダメだよ。入江くんもありがとう。」


 琴子は直樹にも感謝を伝えニコリと笑った。


 「「こ、琴子ぉ~・・・」」


 理美とじんこは女神のように輝いている琴子に抱きついた。
 無事で良かった、悪かったとひたすら謝ってくる2人に琴子は責めることをしなかった。



 直樹は薄いのか厚いのか分からない女の友情劇を一通り確認した後、今度こそ帰れるなと琴子達に背を向けた。
 弁当も渡して琴子も見つけることが出来たのだからここに留まる理由なんてない。


 「あっ・・・待って入江くん!」


 何も言わず立ち去ろうとする直樹に琴子は慌てて呼び止めた。
 そして2人のハグから抜け出すと慌てて直樹の袖を掴んだ。


 「これから用事ってある?」


 ぐすりと鼻をすすりながら琴子は直樹を見上げた。
 酒も完全に抜けきっていないのだろう、上目遣いで見てくる琴子の目はうつろだ。
 直樹が口に出すことなくこの後何も予定が入ってないことを示すと琴子はホッとした表情を浮かべた。


 「あの・・・もし良かったら一緒にお弁当食べない??」


 「は?」
 「「こ、琴子?!」」


 どうして一緒に食べないといけないんだ!
 直樹と理美とじんこは同時に声を上げた。


 「だってあたし1人じゃこれ全部食べられないし、捨てるのも勿体ないんだもん。作ってくれたおばさんにも申し訳ないでしょ?」


 シートの上には琴子が露店で無我夢中で買ってきた食べ物と紀子のお弁当がある。
 確かにこれだけの量を琴子1人で食べるのは無理がある。
 理美とじんこは少なくてもこうなってしまった責任を感じているだけにそう言われると何も言えない。
 けれど、直樹にしてみれば面倒くさいの一言に尽きる。


 「おれには関係のないことだろ。」

 
 直樹はその気持ちを隠すことなく要らないと拒否をした。


 「そう思うなら申し訳なさそうにしているコイツら2人に取ってもらったらいいだろ?金払って貰うなりここで食えなくても持って帰ればいいだろ。」

 「それは出来ないよ。お弁当を忘れたのはあたしなんだし・・・入江くんもせっかくここに来たんだから一緒にお花見しよう?」

 「あのな・・・っ」


 (どうして申し訳ないと思う気持ちをおれには向けないんだっっ)

 そもそも直樹がここに来たのは琴子が弁当を忘れたからで、何もなければここに来る必要もなく家でゆっくり寛げていたはずだ。
 直樹は早くここから解放されることを一番に願っているのに琴子にとってはこの場所から直ぐに帰してしまうのは申し訳ないと思っているらしい。


 「あたし、コーヒーも淹れてきたんだよ!入江くんも大好きなコーヒーを桜の下で飲んだらきっと美味しいと思うよ?」

 「・・・。」


 いつになく食い下がってくる琴子に直樹はおかしいと眉間に皺を寄せた。
 感情の薄い直樹にそんな風に誘っても靡くはずはない。
 それなのに帰ろうとする直樹をそんな言葉で引き留めようとするのは筋違いで理美達がいるのにもかかわらず引き留めてくるのには他に何か事情があるのではないのだろうか・・・と直樹は思った。


 「・・・おまえ、何か隠してるだろ。」

 「え??」


 一瞬顔が強張るのを見てやっぱりな・・・と溜め息を吐いた。
 ぶんぶんと無言で顔を振る琴子の頭のテッペンを直樹は片手で掴んで制止させ、顔を近づけると「白状しろ。」と詰め寄った。


 「あの・・・怒らない??」

 「もう怒ってるっ!だから心配するな。」


 黙秘しても自白しても結果は同じということらしい。
 目の前にある綺麗な直樹の顔に真っ赤にさせながら琴子はポツリと話した。


 「あの・・・もう、お金がなくって・・・。帰りの電車代が・・・」

 「・・・で・・・?」

 「・・・定期も春休みで切れてるのすっかり忘れてて・・・」

 「・・・・・・だったら」


 コイツらに金借りればいいじゃねえか・・・と言いかけて直樹は悟った。
 きっと理美とじんこも赤貧なんだろうと。
 
 (そもそもどうして金もないのに花見なんて金のかかることをしようとするんだよっ)

 計画性も何もない思いつきの行き当たりばったりな行動に巻き込まれて怒鳴りたい心境だが怒鳴ったところで事態が変わるわけではない。それにまだ酒の影響か頬をうっすら赤らめている琴子が何事もなく家に帰ってこられるか怪しいものがある。


 「分かったよっ!!一緒に帰ればいいんだろ!!」


 怒ってると前置きされて白状したから怒鳴られるとばかり思っていたのに直樹自身から一緒に帰ってくれると聞いて琴子は嬉しさのあまり顔が緩んでしまった。不謹慎と思いつつも止めることはできない。


 「い、いりえく~~ん!!」

 「っだーー!!くっつくな酒くせぇ!!」



 「「・・・」」


 いつになく距離感が近い直樹と琴子のやりとりに理美とじんこは驚きを隠せない。
 琴子は酒が入っているから大胆になっているのかもしれないが直樹は素面のはず。
 それなのにカップル繋ぎとか、顔をギリギリまで近づけたりと今まで見てきた直樹とは少し違う印象がある。

 琴子は直樹が了承してくれた事を全面に出して喜びを隠せないようで満面の笑み。
 直樹だって一見鬱陶しそうに見えるが琴子を受け入れてる感があるのだ。


 ((このふたり、何かあったのかな??))


 琴子が素面な時に一度問いつめてみよう。
 そう理美とじんこは思った。















 それから、改めて4人での花見が始まった。
 といっても盛り上がっているのは女3人だけで直樹はただ座っているだけなのだけど。
 4人の中心に並ぶのは食べかけのお弁当と露店で買った茶色いジャンクフード。けれど、琴子はとても嬉しそうにそれらをつまみながら笑っていた。


 「はい、入江くんコーヒーどうぞ♪」

 「ああ。」


 食後、琴子は家でしているように直樹にコーヒーを差し出した。
 紙コップに入ってはいるが立ち上る香りは琴子の淹れるコーヒーに間違いはない。
 直樹もそれを迷うことなく受け取り口を付けた。


 「入江くん、味どう?」

 「普通。」

 「そっか♪」


 ごく当たり前にかわされるやりとり。そのやりとりを初めて目にする理美とじんこはなんとも不思議な光景としか言いようがない。


 「なんか・・・夫婦のような会話だね・・・。」

 「うん。新婚トークだね。」


 ポロリと溢れた台詞に直樹は顔をしかめ琴子は顔を真っ赤に染めた。


 「そ、そんなぁ~///やっだもう///」

 「言ってる意味が分からない。」


 正反対の反応を示す2人に理美とじんこはある意味気が合っているのかもな・・・なんて思った。





 午後を過ぎれば少し風が出てきて揺らされた多くの桜の花がひらひらと舞い落ちていく。
 直樹はすっかり飲み慣れてしまった琴子のコーヒーを口にしながら隣でガールズトークに盛り上がっている琴子の髪に張りついた花びらをそっと取った。

 


 何となく見上げた空は真っ青に広がっていてその下には風に揺れ時々散り落ちてくる桜の花びら。
 その下に視線を落とせば未だに白い肌をピンク色に染め上げて笑っている琴子。
 そして直樹の手にはお気に入りのコーヒー。


 気のせいだと思いたいが桜の下で飲むコーヒーはいつもと違った味がする。
 普段家で飲むものと変わらず美味いと思うが今日はまた違った感じがする。
 もうこんな面倒には巻き込まれたくはないけれど、こういう所で飲むのも良いものなのかもしれないなんて直樹は思った。

 (結局おれも最終的にはコイツに付きあっちまうんだよな・・・ま、別に嫌なわけじゃねぇけど・・・。)

 けれど春早々のスタートがこれでは先が思いやられる。
 大学生活も琴子と共に慌ただしく過ぎていきそうな気配がプンプンする。
 
 直樹はさっきこっそり取った花びらが手のひらから舞い上がっていくのを見てすっと目を細めた。

 (刺激のある生活を約束する・・・ね・・・)






 もうすぐ、琴子と直樹の新しい大学生活がスタートする。
 その大学生活は琴子が約束したとおり刺激があるもので2人の運命が大きく変わるなんて今の2人は思いもよらないのだ――――――――



         《END》


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
  
 
  


 
 面白ネタでいくはずが結局最後はこうなるんだよなぁ・・・と創作の限界を垣間見たお話でした(^_^;)

 あんまりにもお話が書けないので更新しても楽しんで頂けないかも・・・と凹みながら更新していったのですが予想以上の拍手を頂いたので本当に嬉しかったです!!そしてこのお話連載中にとっても嬉しいこともありました♪
 それはまたいずれ・・・(^_^)


 今回、お分かりの通り桜をテーマに創作したんですが、実はこのお話の他に2つ短編があります。
 私の住んでいる所は葉桜も終わってしまっているのですが、まだ日本の北の方は桜はこれからですよね(*^_^*)
 と、いうことでもう少し桜ネタを書かせていただいてもよろしいでしょうか??
  
 
 お付き合いありがとうございました(^_^)

 

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笑ったわ~(*^▽^*)

おはようございます。更新待ってました!

これぞイタキス!もう多田先生御降臨かと思うほどでした。
理美とじんこには入江くんからきついイヤミと琴子ちゃんからは女神の許し(だけどキツイ)。本当にこの二人は友達かどうか疑わしい時が多々あるんですよね。まあ、いかにもF組らしいっちゃらしいんだけど(笑)
それにしても、このお二人さん。これで付き合ってないって誰が信じるのさ(^。^;)
琴子ちゃんの面倒を見れるのは入江くんしかいないけど入江くんと渡り合えるのも琴子ちゃんしかいないわよ。
運命の二人ね(≧∇≦*)
ああ~面白かった!

桜バージョンのお話、待ってます♪

やっぱり無自覚なバカップル(*^-^*)

最高です。煩わしいと思いつつ、目が離せなかったり、からかったり…世話をやいたり。でも嫌がってない自分がいて…まだまだ自分の気持ちがわかってない初々しい時期。短編の桜バージョン楽しみにしてます("⌒∇⌒")

Re: 紀子ママさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

個人の妄想が偏ったお話ばかりのなかでイタキスらしいと感じてくださったことは本当に嬉しいです。
それに多田先生みたいなんてっ・・・・・・・・・かはっ(吐血)感激しすぎて吐血しちゃいます(≧▽≦)!!

時々かるーくさらりと友情をないがしろにしがちな理美とじん子とは反対に自分を犠牲にしてまで友人を大切にする琴子ちゃん。入江くんも便乗して追い打ちを掛けさせてみました(^_^;)
いくら友人でも琴子ちゃんに酷い目を合わせる人間にはそれとなくお灸を据える無自覚な男です~。
理美達には言えない要求も入江くんにはサラリと言えてしまう琴子ちゃんとのやりとりからも2人のちょっと特別な関係が垣間見えたらな・・・と思っていました。
それを全て感じ取ってくださった紀子ママさんには感謝でいっぱいです♪
サクラの短編も更新していきますので、これからもよろしくお願いいたします(*^_^*)

さささま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

最終的にはみんなでお花見をする事になりました(^_^)
入江くんもアレコレ理由付けて仕方なくイヤイヤ了承したように言ってますが、本音の本音は嫌じゃ無いのかも・・・なんて(≧m≦)本人無自覚なんで、どうしようもないですね(苦笑)
最初から最後まで無自覚バカップルに応援してくださりありがとうございました♪

Re: 彩さま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

この場に渡辺君がいたら間違いなく無自覚すぎる行動に笑い転げていたと思います(^_^;)
「ここまで無自覚すぎるのはもうギネス級だ~!!」なんて・・・(^_^;)
そこまで琴子ちゃんのお世話が出来るのは好き感情なきゃ出来ませんって・・・。

書き上げるのがとても大変だったお話でしたが楽しんでいただけて本当に嬉しかったです(^_^)
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 また、作者様、出版社様、その他関係者様とは一切関係ありません。

 管理人の創作で少しでも笑顔になれたら嬉しいです。
 皆様がHAPPYになりますように。

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