スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

手を繋いで。

 
前記事に対して沢山の拍手とコメントありがとうございましたm(_ _)m
すっごく嬉しくって幸せ者だなぁと改めて感じました。
イラストも皆様に受け入れていただけたのかな?とホッとしております。
機会があればまた配布をさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いします♪


さてさて、今回は予告しました通り短編を(^_^)
う~ん・・・すっかり気候は夏のような暑さだったり・・・??

かなり季節がずれまくってしまいましたが目を通してやって下さいませ(^_^)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








 桜舞い散る春―――――――
満開だった桜はとうにピークを過ぎ既に葉桜。
けれど不安定だった気温もようやく安定し、暖かい風が気持ち良い。

こんな過ごしやすい日は学校帰りにどこか出かけようと朝、理美とじんこの3人で決めたのに、午後の授業が琴子だけが急に休講になり一人時間を持て余していた。
待っているこの時間を有効に遣うべく、とりあえずテキストなんかを広げてみる。
が、過ごしやすい陽気もあってちっとも頭に入ってこない。
それどころかお腹も程よく満たされていて眠気も襲ってくる。


(少しだけ…ちょっとだけ眠ったらスッキリするよね?)


少しだけと自分に言い聞かせながら重たいまぶたをゆっくりと閉じる。
元々寝つきの良い琴子なので深い眠りに落ちていくのにさほど時間はかからない。
程なくするとすぅすぅと規則的な寝息が聞こえ始めた。










どれくらい眠っていただろう。

琴子はふっ…と目を開けた。
眠る前は まばらだった通路は今はたくさんの学生達が目の前を行き交っており授業が終わったことを告げている。
 
 (そうだ、あたし行かなきゃ。)

 寝起きで誰と何処へ行くのかぼんやりとしか思い出せないけれど行かなければいけないのは間違いないと身体が告げている。
 琴子はテーブルに広げただけのテキストを慌てて片付け始めていると真横からひどく落ち着いた声が琴子の動きを止めた。


 「そんなに慌てて何処へ行くの?」


 条件反射で声のする方を見れば直樹が本を片手に琴子を見つめていた。


 「いりえくん?」

 「ん?」


 琴子が声をかけると直樹は優しい声色で返事をした。


 「いりえくん・・・なの?」

 「は?」


 琴子の目が泳ぐ。
 どうやらこの状況を上手く把握していないらしい。
 寝起きでぼんやりしているせいでもあるけれどさっき寝ていたとき夢が大きく関係しているようだった。
 その夢の内容は起きた瞬間に忘れてしまって思い出せないけれど、酷く苦しくて悲しくて自分では解決できないくらい辛いものだったような気がしてならない。
 そんな夢のあとで見た直樹の姿。
 琴子はぼんやりとしている頭をフル回転して今置かれている状況を受け止めようとしていた。


 けれど、

 どうして自分が追いかけなくても直樹が隣にいるのだろう。
 どうして自分が起きるまで隣で待っていてくれたのだろう。
 どうして自分にそんなに優しい目で見つめ、声を掛けてくれるのだろう。

 どうして・・・どうして?
 ・・・とどんどん疑問が先に溢れてくる。

 琴子が今まで見てきた直樹は意地悪で素っ気なくて冷たくて。
 自ら一生懸命追いかけて行かなくては構ってもくれなかった。

 
 琴子は動揺を隠せず戸惑いの眼差しで直樹を見つめ、直樹はそんな琴子を不思議そうな顔で見てくる。


 「琴子?」


 直樹が何のためらいもなく琴子に触れようと手を伸ばしてきた。
 けれど琴子はその手を素直に受け入れられず、むしろ拒否反応を起こしたかのように避け、ガタンと音を立てて立ち上がってしまった。
 その勢いでイスは派手に後ろに倒れ、さっき仕舞ったばかりのテキストは鞄から勢いよく飛び出した。


 「あ・・・」


 琴子は慌ててしゃがみ込みぶちまけてしまった荷物に手を伸ばした。
 そして散らかった荷物の中のある物と目が合った。
 そこで、漸く今の現実を知ることになる。

 テキストに紛れていても存在感を強く放っているパスケース。
 そこの中には一枚の写真が丁寧に挟み込まれている。


 タキシードを着た直樹とウエディングドレスを着た自分の結婚式の写真。


 (そうだった・・・あたし、入江くんと結婚したんだった・・・。)


 幸せそうに写っている自分の写真を拾おうとして手を伸ばしたとき、横から大きな手が素早く伸びてきてそれを奪っていった。
 その手を追って見上げれば直樹が丁寧に埃を払っていてそのあと手早くテキストを広い鞄に詰めていく。
 そして最後に踞ったまま見上げている琴子を力強い腕で引っ張り上げた。

 
 「どうした?調子悪いのか?」

 「え?・・・ううん。」

 
 琴子はふるふると頭を振り、怯えるような手つきで直樹の胸の辺りに手を置いた。
 拒否されることのない自分の手を見て不思議そうな顔で見下ろしている直樹の顔を見る。
 そしてゆっくりと口を開いた。


 「夢・・・かと・・・」

 「夢?」

 
 直樹は琴子の前髪をかき上げて熱を測るかのように額に手を当てる。琴子も伸ばされた手を拒むことなく受け入れることが出来た。


 「入江くんが・・・あたしが探しに行かなくても、隣にいることとか・・・あたしを見てくれている入江くんの目が凄く穏やかなのとか・・・あと、意地悪じゃないのとか・・・。」


 でも、夢じゃないんだね。琴子は小さく呟いた。


 「琴子。」

 「ん・・・」


 目の前にある綺麗な直樹の顔。
 その瞳は優しく琴子に向けられている。
 直樹は琴子の前髪をかき上げたまま額に手を当て続けておりそこから伝わる手の温もりはとても心地良かった。
 うっとりと直樹のくれる世界に浸っていると突然琴子の額に激痛が走った。
 

 「っっっ△☆×○~~~!!!!」


 声にならない悲鳴をあげるとさっきまで向けられていた優しい眼差しはすっかり身を潜め意地悪そうな直樹が見下ろしていた。


 「い・・・痛い・・・」

 「良かったな、これで夢か現実が分かっただろ?」

 「ひ・・・酷い。」


 涙目で額をさすっている今は間違いなく現実世界だ。
 もっと他に方法があるのにこんなやり方をするのは間違いなく現実世界の直樹。
 けれどしっかり戻してくれたおかげで大事なことを思い出した。


 「あぁ!理美達と待ち合わせしてたの忘れてた!!」


 時計を見れば立ち合わせ時間がとっくに過ぎている。
 直樹とももっと一緒にいたいけれど先約を優先するのは当然のマナー。
 琴子は慌てて鞄を肩に掛けると直樹に「行ってくるね」と声を掛け立ち去ろうとしたらガシッと腕を捕まえられた。


 「わっ・・・入江くん?!」


 直樹は無言で力強く琴子の腕を掴んでいる。


 「あ、あのあたし待ち合わせ・・・」

 「さっき、小森と石川に会ったから伝えておいた。」

 「・・・へ?」

 「おまえ・・・おれと帰りたくねーの?」

 「はい?」


 琴子は直樹の言っている意味が一瞬理解できなかった。
 だって直樹の口からそんな台詞が聞けるなんて思ってもいなかったから。
 目を見開いて直樹を見つめていると直樹の肩越しに理美とじんこがこっちを覗っているのが見えた。
 ふたりはくすくすと笑いながら手を振って口をパクパク開けている。そしてひとしきり何かを伝え終わったらバイバイと帰って行った。


 
 ――――― ことこ、あいされてるじゃん ――――― 



 自惚れているわけではないけれど、確かに理美とじん子はそう伝えようとしたと思う。
 だから、琴子の口からポロ・・・と言葉が溢れた。


 「入江くんは・・・あたしと一緒に帰りたいの・・・??」

 「・・・は?」


 突飛な発言に直樹は思わず眉間に皺を寄せる。けれど琴子の言葉は止まらない。


 「いり、入江くんは理美たちに事情を話してまであたしと一緒に帰りたくてっ・・・だ、だからさっきもあたしが起きるまでずっとずっと待っててくれて・・・それで、それでっ・・・・・・」


 うわ~~~~ん・・・・・・


 琴子は我慢できずに声を上げて泣きだしてしまった。
 急な大泣きに直樹は何調子づいたこと言ってんだと言いかけた口を閉じはぁ・・・と溜め息を吐く。
 そしてポロポロと涙を流す琴子を抱き寄せた。


 「そうだ。おまえと一緒に帰るためにずっと待っていたし小森達にも先に伝えておいたんだ。」


 直樹の身体にすっぽりと包まれていて広い胸から伝わってくる落ち着いた声がじんわりと身に染みていく。
 更に耳元で「分かったか?」と囁かれて琴子は小さく頷いた。


 「ほら、帰るぞ。」


 ひとしきり泣いて漸く落ち着いた琴子の手を取り直樹は歩き出す。
 やわらかな風が吹く度にひらひらと落ちる花びら。葉桜になろうとしている桜の木の中で一生懸命咲いていた花びら。
 その上には澄み切ったアオが広がっていて若葉のグリーンと桜のピンクのコントラストは素晴らしく映えている。


 「何かおれってこの時期は泣き顔の琴子とばかり歩いている気がするな。」

 「??」

 「おまえもよく泣くよな、桜の下で・・・迷子になったり・・・ぷっ・・・」


 何のことかと思えばどうやら大学入学前の花見のことを言っているらしい。
 直樹の言うとおりあの時は迷子になったり酒を飲まされたり本当に大変だった。


 「わっ笑わないで!!あの時は一生懸命だったんだからっ」

 「まぁ・・・次はあんな目におれが合わせねーけどな。」


 絡めた手にぎゅっと力が籠もる。
 琴子は少し痛みを感じながらもそれに答えるように握りかえした。


 「もう桜散っちゃうから今年はもうダメだけど、来年はふたりでどこかお花見に行こうね?」

 「もう二度と面倒に巻き込まれたくない。」

 「そんなこと言わずにっね??美味しいコーヒーも淹れていくから!桜の木の下で一緒に・・・ね?飲もう?」


 もう片方の手で直樹の腕を掴み、上目遣いで必死にお願いをしてくる琴子に直樹は一瞬目を見開きそしてすっと目を細めた。


 「・・・気が向いたらな。」

 「うん♪」


 絶対行く約束をしたわけではないのに琴子はニッコリと笑った。
 絶対の信頼を寄せてくる琴子に直樹は奥底から込み上げてくるくすぐったいものを感じながらくしゃりと柔らかな栗色の髪を撫でた。

 



 ふたり並んで歩く春はスタートしたばかりである―――――――。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 サクラ×新婚時代
 
 実はお蔵入り候補、その1だったものでした~(^_^)
 けれどせっかく書いたし放置も勿体ないと思って練り直してみました。
 
 その1ということはその2もありますので・・・。
 ボツ候補多すぎ・・・。ってか貧乏性ですよね~(^_^;)

 次回も桜ネタ(サクラ×仲良し親子編)お付き合い下さいm(_ _)m





  

 


コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

きゅんきゅんしちゃいました!はぅぅ、潤る目の琴子ちゃん萌えデス!
目覚ましに熱いちゅうじゃなくてぷしゅーと一発が入江くんらしくて(笑)
いつも素敵なお話ありがとうございます(*^^*)

Re: 藤夏さま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

こちらにもコメントありがとうございます♪
そうなんですよ~・・・ボツ作品を未練たらしく引っ張り出してきました(^_^;)
読んでお分かりの通り、ちっとも文章がまとまっておりませんですorz(涙)きっと読みにくかったと思います。
でも当ブログに来てくださる方はお優しい方ばかりで本当に有り難く思っています。

ずっと大好きで堪らなかった入江くんと夫婦になれたけれどまだどこかで実感が沸かなくて信じられなくて。でも目の前にいる直樹はどことなく優しい。それが夢なのか現実なのか理解しがたい・・・。
そんなお話を作ってみたかったんです。
完全ツンになりきれない入江くん・・・。一度ツンツンな入江くんを書いてみたいです(^_^;)
藤夏さんの仰るとおり、琴子ちゃんの願いはきっと叶えてくれると思います。だって我が家の入江くんは甘いんですもの~(>_<)


Re: ちぇるしぃさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

はい~(^_^)我が家の入江くんの特技、デコピンです~。
ここは熱いハグかキスが鉄則なのにデコピンを落とす。で、予想だにできないところでキスをする。(TPOは完全無視)入江くんは何とも思わないかもしれないけれど琴子ちゃんの身にもなってあげて!!な入江くんです。
それは次回更新予定のお話にも言えることかも(^_^;)
今夜辺りに更新予定ですので、また遊びに来て下さいね♪

ymariさま。

こんにちは☆

拍手コメントありがとうございます♪

わぁぁぁ♪リクありがとうございます♪入江くん目線ですね~(^_^)了解しました!少し妄想してみたいと思います。少しお時間下さいね~。
少し(かなり?)甘めな入江くんを好きと言ってくださってとても嬉しいです。
ツンが書けないので有り難いです(>▽<)!!

スローペース更新ですがこれからも遊びに来て下さいね♪お待ちしています(*^_^*)


琴子ちゃんは可愛いよ!

逆コメで失礼いたします(汗)

琴子ちゃんの見た夢はあの令嬢の頃でしょうか?怖くて悲しかったから目覚めた後も内容は覚えてなくても痛みは残っていたのかな?と想像してしまいました。
うたた寝している琴子ちゃんの側で座って本を読む入江くん…ハウ~ン(〃'▽'〃)絵になりすぎ!

目覚めた琴子ちゃんの様子からきっと入江くんは感じとるものがあったからデコピンかまして態と意地悪したんでしょうね(いや、たんにやりたかっただけかも)
自分に都合良く取るのが琴子ちゃんでも悪い夢の名残で怖かったのが払拭されて大泣きしちゃったんですね。
入江くん、みんなあなたのせいよ。チッチッチッ
手を繋いで帰る桜の道。琴子ちゃんの幸せな気持ちが私にも伝わって来ましたよ。

Re: 紀子ママさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

わぁ♪コチラの記事にもありがとうございます。
琴子ちゃんが見ていた夢は・・・・・・そこはご想像にお任せいたしますね。
でも恐い夢を起きた瞬間に忘れて良かったと思います。覚えてたら考え込んじゃいそうですもんね。入江くんのことを誰より思っている琴子ちゃんですから(>_<)
デコピンは入江くんなりの優しさで・・・。(多分)
見えないところではラブ垂れ流しなんですけどねぇ・・・このお方。そこはまた改めて書こうと思っております。
でもそこでも紀子ママさんから入江くんへのお叱りを頂きそうですが・・・(^_^;)
更新したとき読んでやってくださいね。



プロフィール

narack

Author:narack
☆いらっしゃいませ☆
 こちらは「イタズラなkiss」の二次創作と管理人の好きな物etcをつぶやくblogです。

 イタズラなkissに関しましては管理人の勝手な想像、妄想によるものですので二次世界が苦手な方はご遠慮ください。
 また、作者様、出版社様、その他関係者様とは一切関係ありません。

 管理人の創作で少しでも笑顔になれたら嬉しいです。
 皆様がHAPPYになりますように。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
カウンター
現在のお客様
現在の閲覧者数:
☆リンク☆
Swinging Heart (ぴくもん様)
こんぺい糖と医学書 (千夜夢様)
*初恋* (miyaco様)
雪月野原~snowmoon~ゆづきのはら (ソウ様)
Embrasse-moi (えま様)
みぎての法則 (嘉村のと様)
真の欲深は世界を救う (美和様)
日々草子 (水玉様)
むじかくのブログ (むじかく様)
みんなのイタKISSブログ (ルン様)
Snow Blossom (ののの様)
『ハピ☆スマ』バナー
相互リンクはイタズラなKissの二次創作サイト様のみ受け付けております。 その他のサイト様とのリンクは受け付けておりませんのでご了承ください。 ☆イタキス創作家様へ☆ お持ち帰りの際は、ご連絡をお願いします。
☆新しくバナーを追加しました♪リンクされている方はお好きな方をお選びください☆
このブログをリンクに追加する
月別アーカイブ
最近のハマりもの♪
なんだか気になって仕方がない 『うたプリ♪』 ※曲が流れます♪        
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。