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高熱と本音


なんじゃこりゃ・・・なタイトル(涙)
タイトルって、難しいですね・・・。

そんなこんなで 高校時代 参ります。



 ―――― 斗南高校 昼休み ――――



 理美とじん子とお弁当を済ませたあと琴子はA組の教室を覗いた。

   家でも会えるけど、学校にいる入江くんにも会いたい。



 そんな贅沢な事を思っている琴子にA組の女子達は一気に視線を浴びせる。

 どんな経緯があったとはいえ、直樹と同じ家に住んで寝食を共にして。
 学校以外のプライベートを知っている琴子は直樹に好意を持っている女子にとって妬ましい存在。
 それなのに学校の様子まで知ろうとするなんて何とも欲張りで独占欲の強い女だろうか・・・とA組女子の視線から窺えた。

 同じA組に属していながらまともに直樹と話すことも出来ないでいる女子達。



 そんな光景を見ているのはA組男子。

 毎日毎日冷たくあしらわれ、暴言を吐かれても変わらず「入江く~ん」と会いに来る琴子。
 確かにあれだけくっつかれていると大変だろうと直樹に同情したりする。
 けれど、とびきり美人ではないが表情豊かで明るく可愛い部類に入る琴子に「好き」とアピールされ続けているのは羨ましいと思う。
 特に髪の毛は地毛の割に色素が薄く真っ直ぐなストレート。
 歩く度にサラサラと揺れる様子だけでも十分魅力的である。

 A組女子の冷たい視線にも負けず(恐らく気づいていないと思われる)ほぼ毎日やってくる琴子に尊敬をし、同時に琴子に冷たい視線を送り続けるクラスの女子には少し軽蔑してしまう。
 そして、女って怖いな・・・と。




 F組とは違い頭の良い集団がいるA組の教室は雰囲気までもが堅苦しい。
 琴子はそんな空気が苦手で教室の入り口から直樹の姿を探した。
 けれど直樹は居らず、いつも一緒にいる渡辺も居ない。


    一緒にトイレでも行ってるのかな?


 女子のように仲良くトイレなんて行かないだろう。
 直樹が居ないのであればここにいる用事もないので、今日は諦めて帰ろうと思った時――――

 
 「邪魔。」


 と、冷たい声が聞こえた。


 「ったく。お前は何なんだよ。用もねえのに来るな。A組の奴らはお前と違って大事な受験が控えてんだ。馬鹿を移すなよ。」

 「・・・。」


 いつもなら「いいじゃない!」 「入江くんの意地悪!」と文句の一つが飛んで口喧嘩(夫婦喧嘩と周りは言う)になるのに、今日の琴子は反論せずに大人しく じぃーーーーっと直樹を見てるだけ。
 直樹もまた何も言わず じぃ・・・っと琴子を見下ろしていた。
 直樹の後ろにいた渡辺は一体どうしたんだ?と背後からひょっこり顔を出した。


 「入江? 琴子ちゃん??」





 ガシッ!!
 


 「んなっ・・・!!」


 琴子は背伸びして両手で直樹の頬を掴み、それを自分の顔に思いっきり引き寄せお互いの顔を合わせた。


 「きゃああーーーーーーー!!!」


 それを見ていた女子達は「いやぁぁ~~!!」と大きな声を上げる。
 いつもの直樹にからかわれて真っ赤になって慌てているのとは違い積極的な琴子に渡辺は驚く。
 直樹も表には出ていないが突然の出来事に少々戸惑い、そしてチッっと舌打ちをした。




 「お・・・おい。」

 「い・・・入江くん!!すっごい熱があるじゃないのーー!!!」


 「え??」と渡辺をはじめ、A組の生徒は直樹を見る。
 しかし、そこに居るのはいつもと変わらず涼しげな顔をしている入江直樹である。



 「目つきがいつもにもましておかしいよ!!顔も赤いじゃない!!何でこうなるまで放っておいたのよーーー!!」


 さらっと失礼な事を言いつつも琴子は泣きそうになりながら直樹を見上げ、頬を触ったり額に手を当てている。
 表情だけだと琴子の方が調子が悪そうだ。
 けれど 「うっとおしい」 「近寄るなっ」 と払いのける直樹が何もせずじっとして琴子にされるがままになっているのを見ると本当に調子が悪いのかもしれない。


 「――――――――・・・ちいい・・・。」

 「え?」


 直樹の額に触れながら琴子は首を傾げる。


 「手が冷たくて気持ちがいい。」


 季節は11月の終わり。
 もう冬に近い。それなのに気持ちいいなんて。
 やはり直樹は熱があるようだ。


 「さっき手を洗ったから。やったぁ、少しでも入江くんの役に立ててるっ ふふっ 気持ちいい?」


 琴子はえへへと笑いながら、冷たい手を直樹の顔に押し当てた。





 ―――― 何なんだ・・・このバカップルは・・・ ―――― 



 

 渡辺は思わず呟く。

 いやいや琴子ちゃん。 今はそういう問題ではないんじゃ・・・。早く入江を保健室に連れて行った方が・・・。

 そう言いたいのに二人から流れてくる何とも言い難い空気のせいで何もできない。
 そして、少しこの二人から離れたいのに妙な空気にのまれて動けずにいた。


 「はっ 何してるのよっあたしったら/// 入江くん!!保健室へ行くか早退させてもらった方がいいよぉー。
  渡辺さんに付き添ってもらったら? ね? 渡辺さん!!」

 「いいよ、別に。 今まで誰も気づかなかったくらいだし。」

 「だ、ダメよ!! 倒れちゃったら大変よ。あたし、入江くんおんぶして帰れないもん!
 そ、それにこれから受験の大事な時に! 入江くんT大落ちちゃったらどうするの?
 周りの人たちに移ってみんながすスベって落ちちゃったら入江くん責任取れないでしょう??」

 「おまっ 受験生を前に・・・。」




 言わずもがなここは三年生の教室である。
 天才の直樹は何も思わないが、A組の生徒はヒクっと顔を引きつらせた。
 
 秀才の集まるA組でも受験生に変わりは無い。
 その前で 「スベる」 「落ちる」は禁句だろうが。しかもF組の琴子に心配されてはおしまいである。
 直樹はやれやれと溜め息をついた。

 しかしそんな事知ったこっちゃない琴子は直樹を保健室へ連れて行こうと必死だった。
 自分の事の様に心配をして説得をしているその顔は涙目だ。

 見かねた渡辺がのまれていた空気からやっとの思いで抜け出し助言をした。

 
 「入江・・・。少しだけでも休んだ方がいいよ。5.6限休んだからってお前に支障は無いだろう?」


 そりゃそうだ。
 熱で顔はほてりボーーーっとする。
 琴子の手は冷たくて気持ちいい。
 けれど背中はゾクゾクと寒気がしていて更に熱が上がりそうな自覚もある。

 実は朝から少しおかしいと直樹は思っていた。
 でも今日は朝から渡辺に頼まれていた勉強に付き合う予定だったし、幸運にも明日は創立記念日で休み。
 まぁ、大丈夫だろうと気にも留めていなかったのだ。
 だから、今まで誰にも気づかれなかった。

 ・・・・・・なのに。

 それなのに、何でコイツはすぐに分かったんだろう・・・。





 「・・・渡辺。5.6限、代返しといてくれ。」

 「ああ。 大丈夫か? 付き添うか?」


 別に大けがをしている訳ではない。
 自分で歩ける。
 渡辺には「大丈夫」と断り、琴子の手をぎゅっと握った。


 「行くぞ。」

 「え?」


 いま大丈夫って言ったのに・・・。
 琴子は握られた手と直樹の顔を交互に見る。
 真っ青な涙目の顔から真っ赤な顔に変わる。


 「連れてってくれないんだ~。ふーん。今まであれだけ行けって言っときながら都合の良い女だなー。
 お前の俺への気持ちはそんなもんかぁ。よぉ~く分かった。」


 「ぶっっ」
 渡辺は思わず吹き出す。
 しかし直樹に気づかれないように直ぐに冷静を装う。

 今のトークは完全にバカップルトークじゃないか。 
 周りを見渡せば、自分と同じように信じられないと言わんばかりの顔が並んでいる。


 「あたしでいいの?」


 琴子はつぶやく。
 直樹は無言で琴子の手を取りスタスタと歩く。
 引きずられるように歩く琴子。
 もはやどっちが病人なんだか分からない。


 「入江くん、大丈夫?」


 琴子は心配そうに見上げながら隣を歩く。
 そして二人は手を繋いだまま。

 無事に直樹が保健室へ行くのを見えなくなるまで見届けた渡辺は自分の教室に入る。
 ん? と、そこで妙な空気に気づく。


 琴子が来る度に「可愛い」やら「もったいない」など琴子に好意を持っているだろう男子。
 直樹に好意を持っていて、琴子に冷たい視線を浴びせていただろう女子。

 そんな奴らが溜め息をつきながらうなだれている。


 ―――― いくら熱があるからって・・・入江・・・お前、まさか・・・ ――――


 いくらうっとおしがって邪険にしてても、周りの琴子への視線には間違いなく気づいていた直樹。
 今日は高熱を出していつもよりは冷静に欠けてはいたと思うのだが。
 いや・・・どっちにしても高熱とは恐ろしいものである。

 もう一度周りを見渡して、渡辺はまた笑ってしまった。
 
 誰も直樹の体調不良に気づかなかったのにひと目見ただけで異変を感じた琴子。
 毎日一緒にいて「大好き」と言っているだけのことはある。

 二人で手を繋いで歩いていった後ろ姿を思い出す。


 ―― もしかして、あの後ろ姿が現実になるのはそう遠くではないのでは? ―― 


 と、思いながら机の引き出しから参考書を取り出した。

                                       《END》





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 無自覚シリーズ 再び。
 いや、シリーズ化するほどネタないんですけどね。
 
 計算して牽制してるのか、そうでないのか。どっちなの?! っていうお話でした(何それ)


コメントの投稿

非公開コメント

面白いです♪
アップを楽しみにしていました〜( ´ ▽ ` )ノ
ぜひ琴子ちゃんの風邪ver.もお願いします‼‼

Re: きいろいとり さま。

こんにちは。
コメントありがとうございます。

良かったですか?嬉しいです♪
琴子が風邪をひいたら・・・入江くんはどんなふうになるのやら。
全く考えていなかったです。
そうですね、ちょっと妄想してみましょうか(笑)

あっ、でもあんまり期待しないでくださいね。
管理人、プレッシャーに弱いので・・・えへ。

拍手お返事

kaotokuchan さま。

ブログのお知らせとこちらへのコメントありがとうございました。
どうしてもお礼を書きたくて、こちらに載せさせていただきます。

不自覚シリーズ化に賛成してくださりありがとうございます。

まだまだ、お話は少ないですが、妄想できたら頑張って創作しますね。
のんびりとしか書けませんがよろしくおねがいします。
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