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Do you love her? 【番外編:久瀬の災難 -2-】


それからどうした~(^_^)

続きです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 










 寒い・・・俺は脱いでいた上着を再び羽織り前のファスナーを上までしっかりと閉めた。

 俺も集団風邪を貰ったのかもしれない。
 朝、遅刻しそうになって急いでいたから小さな体調の異変に気付けなかったのかもな。
 大学に着いて落ち着いてきてから俺は少し寒気を感じていた。

 山田の言ったことを信じているわけではないけれど寒気を感じるようになったのは入江が来てから。
 入江が隣に座ってから。
 けれど入江はいつもと変わらない様子で淡々としていて怒っているような様子もない。

 だからただの風邪の引きはじめ、初期症状だと思う。


 そんな寒気と闘いながら午前中の講義を終えていつものメンバーと昼飯を食いに食堂へ向かう。
 復帰してから一緒に食っている入江にも当然声を掛けるわけだが・・・


 「悪い。今日も琴子と食う事になってるから。」


 そう言って、さっさと行ってしまった。
 それらを見送る俺達。


 「入江って、天才だけど恋愛は初心者っぽいよな。」


 一人の学生が小さくなる入江の後ろ姿を眺めながらポツリと呟いた。
 俺以外の奴らはその台詞にうんうんとそれはもう大きく頷いている。
 なんでも完璧にこなしそれをサラッと成し遂げる男、入江直樹。
 天才で外見も完璧な男だけに恋愛経験も多そうに思えるのだが実はそんなに恋愛経験豊富ではないことを知ったのは一昨日の飲み会だった。
 酒も入ってて普段聞けないことをここぞとばかりに聞いた俺達。入江も酒の影響か普段より付き合いやすかった。そしてそこで聞いた俺達の不躾な質問に入江は正直に答えてくれていた。
 恋愛経験が少ない=恋愛初心者(入江は既婚者だけど)というのは当たり前というか当然なんだけど、連れの呟きはそれだけの理由で出た言葉ではないような気がしてならなかった。


 「・・・なぁ・・・そんなに凄かったわけ?昨日。」

 
 朝一番の山田の興奮ぶりもあるし、俺は味わうことのなかったその出来事の様子が少し気になった。
 

 「凄いってもんじゃないぜ!!一瞬にして周りが真っ白になって見えなくなったんだぞ~!!」

 「あんなに間近でホッキョクグマなんて簡単に見られないし!!」

 「あぁ・・・クマとチョウチョのコラボも貴重だったな!!」

 

 なんだそれは・・・。

 とにかく昨日の講義室は極寒で入江が奥さんと帰ってから訪れた春のような暖かさがこんなに有り難いんだなと身に染みたんだと口を揃える。
 やっぱり聞けば聞くほど俺の中にある入江のイメージとかけ離れていって全く想像も出来ない。

 
 そんな話をしながら食堂へ入ると少し離れたところに俺達の中でホットなカップル、入江夫妻がいた。
 仲良くメニューを見て何やら話している。


 当然俺達もメニューを見るために2人の近くまで行くんだが、そしたら入江夫妻の会話が聞こえてきた。
 





 「入江くんっ今日も一緒に食べられるね!!」

 「そうさせたのはおまえじゃねぇか。」

 「でも昨日の夜、取引しようって言ったのは入江くんだよ?」

 「はいはい。分かってるって」


 そう言いながら琴子さんに頭をくしゃくしゃって撫でてる入江。


 「あたし、すっごく頑張ったでしょ?ね?昨日『琴子にしては上達したな』ってよしよしって褒めてくれるから頑張っちゃった♪」

 「だな。」

 「あたし、昨日みたいに入江くんが褒めてくれたらあたし何でも頑張れるよ!!」

 「まぁ・・・根性抜いたら何も残らないしな、おまえは。今夜も期待してるよ。」

 「うん♪」


 
 琴子さんは嬉しそうに入江の腕に抱きついてぴょんぴょんと跳ねている。
 入江はいつもなら鬱陶しいと突っぱねそうだが、今日は琴子さんの細い腰に手を回していた。


 でも――――――――・・・
 ・・・なんの話をしているんだろうか。
 俺達は顔を見合わせてゴクリと唾を飲み込んだ。
 なんか、聞いてはいけないような。有名だけど謎が多い入江夫妻の深い部分を垣間見てしまったような。
 そんな気分になった。
 それは俺だけじゃなくて他の奴らも同じだったようで入江に聞こえないように小さく囁きながらも興奮していた。
 でも、どんな噂があっていろんな話を過去に聞いてきたけど、現実あのふたりは夫婦なんだよな。
 だから夫婦や恋人がするようなことをしていてもおかしくはないわけで。
 有名人だからつい興味本位で想像されてしまうけど本人にとっては迷惑な話なんだろうな。




 「おいっあんまりコソコソしてると入江に気付かれるぞ。」


 俺の後ろでコソコソと興奮している奴らに釘を刺す。
 山田、おまえ俺に気をつけろって言った割にそんなんで良いわけ?
 
 呆れた目で見やると、入江にこんな事聞かれでもしたら今度こそ凍死するな。と山田達は慌てて心の中を切り替えている様子。
 そこらにいるカップルだったらこんなに妄想もされないだろうにある意味可哀想なカップルだぜ。
 でも、大学の人が溢れかえってるようなところでそんな話しないで貰いたい。
 俺達はそう言うことに興味溢れる年頃なんだから。







 そうして俺達は漸く気を取り直して学食の献立を見る。今日みたいな日は大学の外へ出てランチとかも良いかもしれないが金のない学生にとって大学内のお手頃な学食は有り難いからそうも言ってられない。
 特に食べたいものもないし日替わり定食でいいかな、と考えていると後ろからポンっと肩を叩かれた。


 「あのぅ。久瀬さんですよね?」


 ん?と振り返ればそこにいたのはさっきまで俺達の周りで妄想膨らませていた主人公の一人、入江の奥さんの琴子さんだった。
 


 「あの、昨日はありがとうございました。」

 
 琴子さんはそう言うとぺこりとお辞儀した。
 俺はいきなり頭を下げられてなんだったっけ?と記憶を辿る。
 

 「昨日、廊下であたしを励ましてくれましたよね。あの時はちゃんとお礼も言えなくて。」

 
 見上げて満面の笑みを浮かべてお礼を言ってくる琴子さん。
 そんな些細なことでお礼を言ってくるなんて律儀なんだな。
 しっかし昨日も思ったけど琴子さんってほんっと童顔だよな・・・。同い年とは思えない。クルクルと変わる表情に大きくて純粋そうな目。
 やっぱり小学生の自分の妹と何処かカブる。
 

 「いや。本当の事を言ったまでだから。お世辞でもなくって琴子さんは可愛いから入江と並んでもお似合いだよ。」


 そう言いながら俺は昨日のように琴子さんの頭を撫でた。
 琴子さん見てるとやっぱり妹を構ってやりたくなる。久しぶりに実家に帰って相手でもしてやろうかな、と琴子さんに笑いかけながら自分の世界に浸っていると、上着の裾を引っ張りながら俺を呼ぶ山田の声と同時に今までにない寒気(どっちかというと病的な悪寒に近い)が背中を突っ走っていった。
 ぶるっと身震いしながら後ろにいる山田の方へ振り返ると、酷く焦った顔をして口をパクパクさせている。
 俺は鯉のようにパクつかせている唇をじっと見つめる。
 ちゃんと話せよ。俺、読唇術なんてできねぇし!!




 「は、や、く、そ、の、て、を、は、な、せ」




 ・・・手?
 俺の手がどうしたんだよ。そしてそれと同時に下の方から「あ、あの・・・」と小さな声が聞こえてきた。
 その声に引き寄せられるように視線を落とすと・・・。


 「わっ!!ご、ゴメン!!琴子さん!!」


 俺は慌てて琴子さんの頭から手を離した。
 頭の中で妹の事を考えていた事もあってか俺のは無意識に琴子さんの頭を撫で続けていたらしい。

 そして、その琴子さんの後ろには――――――――


 「!!!


 もの凄い冷たい目をした入江がこっちを見ていた・・・。
 その目と合った瞬間、更に背中に氷のような冷たい風が走っていく。
 暖房が効いている学食は薄着でも居心地が良いはずなのに今日の俺は寒くて仕方がない。
 なんでだ??風邪が悪化してきてしまったのだろうか。
 体感温度がどんどん下がっていって寒さが増してくる。
 窓でも開いているのかと見たけどしっかりと締まっていた。
 俺だけ寒いのだろうか?と周りを見渡すと俺の近くの奴らだけが上着を羽織り始めている。

 なんで??
 
 そんな事を考えていたら、ふと朝に山田が言った言葉が頭をよぎった。



 『奥さんに対しての入江の嫉妬深さと執着心を甘く見ると痛い目に遭うぞ。』



 俺の体感温度が一気に下がっていった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 



 本当は前後編にしたかったのですが中途半端に長くなってしまって。
 もう少しお付き合い下さいm(_ _)m


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非公開コメント

すごいな〜(゜Д゜)

おはようございます。更新ありがとうございます。

「お前はもう死んでいる。」ってセリフが頭に浮かびましたよ(笑)
久瀬くんて、本当に大らかなざっくりした性格なんですね。そして妹思い。 友人が心配してくれていたのに普段の直樹しか知らなかったばかりにツンドラ通り越して極点の世界がウエルカムだわね。生きて帰れることを祈ってます。
イリコト、どんな取り引きしたのか気になるわ〜(^^;)

はじめまして(^_^)
いつも楽しみに読ませて頂いておりますありがとうございます(^^♪

すいません(#^.^#)紀子ママさま。
私も「お前はもう死んでいる。」浮んで来ました(笑)  がんばれ久瀬くん。

続きがすごーく楽しみです。

あたたたたた!

すみません、紀子ママさまが表現して下さった名文に乗っかるようで大変恐縮ですが、わたくしも秘孔を突かれた彼が見えました(^^;)
無自覚ながらもこの独占欲、地球温暖化に役立つかも!?←立たねぇよ


更新ありがとうございました!!
また続きを楽しみにお待ちしていますが、時節柄体調等ご自愛下さいませ。

Re: 紀子ママさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

ケ○シンロウ直樹・・・ぶぶっ!!
紀子ママさんナイスです~!!
確かにそれ程の殺気(?)はあるかもしれません(^_^;)
じつはこのケ○シロウ、私の手から離れて暴走しかけまして、全然スッキリ収まらず大変でございました。
なんとか手を汚さずに済んで良かったです(^_^;)

そして漸く入江くんの本性に気付き始めている様子の久瀬くん。
生きて帰れるか?!
ご期待に応えられるか心配ですが、なるべく早めに更新できるように頑張ります(^_^)

イリコトの取引は・・・ご想像にお任せということで・・・。
相も変わらずざっくり設定なんです(大汗)

Re: るぅーぴんさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます。

そして初めまして(^_^)
沢山の素敵サイト様があるなか、こんな僻地にお越し下さりありがとうございますm(_ _)m

るぅーぴんさまもケ○シロウが見えたのこと・・・。
自分で書いててなんですが私、凄いものを書いてしまったんですね・・・(^_^;)
そんな入江くんでも受け入れて続きを楽しみにしてくださる事が嬉しくて(^_^)
久瀬くんへの応援もありがとうございます!!
伝えておきますね♪久瀬くんに(^_^)

Re: ちぇるしぃさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

あぁ!!ちぇるしぃさままでケ○シロウ(笑)もう確定ですね(^_^)
これからお話を書く度にケ○シロウが浮かんできそうです~。
 
地球温暖化・・・役に立てれば良いのですが入江くんの事ですから東京だけ局地的な大雪を降らせそうですね・・・。
異常気象ですよっ!世界規模で迷惑かけてそう・・・(^_^;)

続きは今晩あたりに更新します(^_^)
ちぇるしぃさまに楽しんで頂けたら良いのですが・・・。
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