Do you love her? 【2】

続きです(^_^)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 直樹と理美とじん子。

 久しぶりに会ったとはいえ今更お互い緊張する間柄ではない。
 怖いもの知らずというべきか、高校時代から面白半分に直樹をからかってきた理美とじん子。
 この2人に直樹に対しての遠慮という文字など無いのに、珍しく今日は口数が少なく大人しかった。
 直樹に話す内容など無いのは最初から分かっている事。けれど琴子に対してならば何かしらあるはずなのに琴子にすら話しかけることなくただ目の前に座り黙々とご飯を食べている。

 直樹はそれが不思議でならなかった。
 でもそれを突っ込むほど気にするレベルではないのでほったらかしにしていたのだが・・・。



 『入江くんってさ、琴子が好きで堪らないんだね。』


 やっぱりコイツらは何か余分なことを言うんだな――――と、直樹は思った。

 みそ汁を飲んでいる最中だった琴子は理美の台詞を聞いてブッと吹き出しそうになっている。
 入ってはいけないところに入ってしまって涙目になって苦しんでいる琴子の背中をさすりながら直樹は理美を睨んだ。


 「石川・・・なんだよ急に。」

 「だってさ、あたし達高校からずっと2人を見てきたんだよ?琴子が無謀にも入江くんにラブレター渡してから結婚するまで入江くんの琴子に対する態度が変わっていったのは事実だけど、それって単に同居していたからかなーって思っていたんだよね。」


 理美の言葉に少しだけ直樹の眉間が動く。


 「もう同居愛じゃないんだね。ちゃんと今は夫婦愛があるんだね!今ずっと2人のやりとり見てて思ったんだけど琴子の猪突猛進な行動ってやっぱ長年一緒にいた入江くんじゃないと受け止められないわ。」


 理美が言い切ると隣のじん子もうんうんと頷いている。

 
 「琴子。自信もって入江琴子でいなさいよ。入籍も無事済んだことだし、あんたには怖いものなんて何も無いわよ!」

 
 理美に続いてじん子がウインクしながら笑う。


 「入江くん、6年間の片思いからやっと両思いになれて夫婦になれた琴子の心情を大切にしてやってよね。」

 「・・・さと・・・み・・・じんこぉ・・・」
 
 
 どんな爆弾を投下してくれたのかと思えば琴子の心にじんわりと広がる言葉。
 ずっと琴子をそばで見てきた2人から掛けられたこの言葉は何よりも説得力がある。
 人目も気にせずポロポロと涙を零し始めた琴子に理美とじん子は慌てたがそれよりも直樹の行動に驚いた。
 2人の言葉に対しては何も言うことなくただ視線を寄こすだけ。それはいつもと変わらない直樹の態度。
 けれど、隣で子供のように涙を流す琴子を見つめる瞳はとても穏やかだった。
 さっきみそ汁でむせて背中をさすっていた延長なのかも知れないが、今も泣いている琴子を宥めるように背中をさすり続けている。
 その姿を見て理美が溜め息混じりにポツリと呟く。


 「あー・・・でも琴子も入江くんの心情を察する努力も必要になってくるかも知れないわね・・・」

 「・・・(まーな。)」

 
 理美の呟きに直樹も小さく呟く。
 確かに直樹の態度は分かりづらいけれどよく観察してみれば理解できるかも知れない。
 鈍感でいつも直樹に対して自信がない琴子にも問題はあるのだ。
 
 結婚しても尚、琴子は毎日「入江くんがあたしを好きだなんて信じられない。やっぱり夢なのかな・・・」何て言う。
 確かに直樹は軽々しく「好きだ」と言わないし言う性格でもない。
 けれど、いろんな事情があったとはいえ自分が決めた婚約者がいるのにも関わらずあの雨の中迎えに来るだろうか。
 開発に1年もかかるようなゲームソフトを2週間で完成させるだろうか。
 そして、あんな優しい目で見つめてくるだろうか――――。

 






 






 「琴子。午後の講義終わったらいつもの所な。」

 「あ、今日は一緒に帰れるんだね!!」

 「少し遅くなるかも知れないけど。」

 「うん!入江くん来るまで待ってるから一緒に帰ろうね!!」


 まだ食べかけの琴子は立ち上がった直樹に満面の笑みで返す。
 直樹は「さっさと食べてしまえよ」と言い残し食堂を出て行った。






 「入江くん、『人間』に近づいてきたね。」

 「・・・へ?」

 「これも琴子のおかげだね。」
 
 一人で呟いて一人で自己完結する理美。
 どういう意味だろう?ときょっとーんとした顔で疑問符を投げかけてくる琴子に理美は「何でもないわよ、ただの個人的見解だから。」と苦笑いをした。





 






 「じゃーね!!2人ともまた明日ね!!」


 午後の講義が終わって琴子は直ぐに講義室を飛び出した。
 そしていつもの待ち合わせ場所に向かう。といっても直樹のいる医学部の建屋まで琴子が迎えに行くというもの。
 直樹が医学部に転科してから琴子が様子を窺いにやってくる延長でそこがそのまま待ち合わせ場所になっている。
 琴子のいる文学部と直樹のいる医学部は大学の建屋の端と端。
 待ち合わせというのは大体その中間点というのが基本だが直樹と待ち合わせが出来る事が琴子にとって何よりも幸せなのでそんな小さな事は気にしないらしい。
 それよりも直樹が待ちくたびれていないだろうかと琴子は急ぐ。
 直樹はまだ復帰したてで琴子と違い、やらなけれいけないことがたくさんあるし、何より時間を有効に使う術を沢山持っているからそんな心配はないけれど。
 それでも琴子は急いで走った。



 医学部のある建屋の出入り口は講義が終わった生徒で溢れていた。
 未来の医者達だけあって頭の良さそうな学生ばかり。
 国家試験間近なのもあってピリピリした空気が高校のA組の雰囲気に似てるな、なんて思う。
 やっぱりあたしってこういう所は思いっきり場違いだな・・・そう思いながら特に考えもせずに直樹のいる講義室へ向かった。
 でもやっぱりちゃんと待ち合わせの出入り口で待っていれば良かった、と後悔をする。
 建屋の中を進んでいくにつれて琴子に向けられる不躾な視線とヒソヒソ話。
 本人を目の前にしても遠慮無く飛び交う言葉は琴子の胸にチクリと刺さる。





 「あれ・・・相原じゃないか?」
 「ばーか、相原じゃなくて入江だろ!」
 「あぁ、そうか。あの2人結婚したんだもんな。」
 「でも、意外だよな、あの2人が結婚だもんな~。入江、婚約者いたんだろ?」
 「あ、もしかして入江って相原に何か弱み握られてるとか?」
 「何言ってるんだよ!あの入江の弱み握れたら相原は文学部にいないぜ?」
 「あはは・・・言えてる~。」






 (あたしだって入江くんと自分がお似合いかそうじゃないかくらい分かってるもん!!でも、入江くんがあたしを選んでくれたことは本当のことだもん!!)


 琴子は心の中で叫びながら興味本位でしかな視線に耐えつつ医学部内を突き進む。
 けれど、中程まで歩くと立ち止まってしまう。
 早く会いたいからと勝手に入ってきたけれどこれでは直樹に迷惑がかかるのではないかと思ったからだ。
 今更な事かもしれないがやっと医学部に戻れたのだ。琴子も直樹が医者になることをずっと願っていたし復帰できたことを心の底から嬉しいと思う。
 だから自分の我が儘な気持ちを押し通して迷惑かけてはいけない、そう頭の中でもう一人の自分が引き留める。
 
 容赦ない周りの視線。そして頭の中で囁くもう一人の自分。
 
 いろいろ考えた結果、やっぱり待ち合わせ場所の外で待っていようと靴を翻したとき一人の学生に呼び止められた。


 「入江琴子さんですよね?」


 白衣を着ている学生。
 ここには直樹以外の知り合いなんていない。
 誰?と全身で訴えてくる琴子に学生は急に声を掛けたことを謝った。
 

 「――――大学内ではあまりにも有名な人だから初対面な感じがしなくて。俺、入江と同じグループで学ばせてもらってます、久瀬って言います。昨日も一緒に飲みに行ってたんですよ。」

 「あ、そうだったんですか?入江くんの奥さんの琴子です。」


 直樹の――――。それだけで強張ってた顔を一気に和らげて満面の笑みで返してくる琴子。
 その姿を見て久瀬は思わず笑ってしまう。急に笑われては気分を害してしまうかも知れないのに。でも久瀬は我慢できなかった。
 

 「あ、あの・・・」

 「あぁ、スミマセン。あんまりに初々しくて可愛い奥さんなんで。」

 「え///?!初々しい・・・?///」


 クスクスと笑う学生から「初々しくて可愛い」と言われ途端に真っ赤になる琴子。
 日頃直樹にも言われることも無いので茹で蛸のように耳まで真っ赤になっている。
 そんな姿に久瀬はニコリと笑う。


 「入江、まだ講義室にいるよ。復帰したてだけど入江が一番成績良いからね。ほんっとおれ達の立場が無いっていうか。奥さんが迎えに行ったらきっとみんなが離してくれるよ。だから助けに行ってやって。あ、それと――――。」

 「?」

 「周りの言葉なんて気にしないで堂々としてればいいんじゃないかな?」


 そう言うと久瀬は琴子の頭をポンポンと軽く叩いて他の学生と歩いていってしまったのだった。













 




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 中途半端に切ります(^_^;)



  

 
  

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おおっと!

おはようございます。更新ありがとうございます。
理美ったら良〜く入江くんの心理をついてるじゃん(笑) 彼女は良くんで男の子をかじってるからかな?(じんこはどうなのよ?といわれても…)
人間になりつつある入江くんだからこそ気になるのが新キャラくん。なかなか好青年だけど吉と出そうにないわね。理美が言うように琴子が鈍ちんだからね〜。
嵐の前?

Re:あやみくママさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

ですね(^_^)
似合う似合わないで結婚はしませんね。
でもこの夫婦は心底好き合ってますから♪入江くんはその片鱗を見せませんが琴子ちゃんLOVE垂れ流しですから。そんな入江くんを全身で受け止められるのは琴子ちゃんだけですから♪猪突猛進の琴子ちゃんを受け止められるのも入江くんだけですから♪そう考えるとこの2人は運命的なカップル♪ですよね~(^_^)・・・って今更なに言ってんだって感じですかね(^_^;)

そしてあやみくママさんもG様のTVご覧になったんですね?!
お姉さんに起こして貰うのは昔からでめっちゃカワイイですよね(>▽<)犬好きで愛犬と戯れてる姿とかはパパのようでG様宅のわんこになりたいと何度思ったことか・・・(もう重症(-_-))
3年と言わず永遠に惚れてください~!!

そして例のお話ですけれど丁度その時お邪魔できて無くて気付いたら・・・で。でもいろいろ拝見させていただいて難しい問題だな・・・と考えておりました。私もこうやって運営させて頂いている身ですのである程度の覚悟は持ってやらせて頂いています。でも大丈夫ですよ。あやみくママさんが下さるコメントはお話を読み込んでくれた深いコメばかり。書いてる本人も気付いていない核心まで見つけてくれて(それはそれで問題ですが、あっ私がですよ!!)とても嬉しいです。私はそんなあやみくママさんに支えられて運営させて頂いております。これからもどんどんコメ頂けると嬉しいです。ってコメをしたくなるようなお話を書け!!って感じですね(^_^;)

Re: 紀子ママさま。

こんにちは☆

コメントありがとうございます♪

私の中でなんですけどじん子より理美のほうが琴子と入江くんに対して理解力みたいなものがあるような気がして(^_^;)だからといってじん子が駄目というわけではないんですよ~(>_<)じん子だって琴子ちゃん思いの優しい女の子ですもん♪
さてさて、お話を広げる事が出来ない私。スミマセン(>_<)きっと続きは期待はずれかもしれません~。
「あ~narackの頭は所詮こんなもんか・・・しゃーねーな」という感じで見てくださると有り難いです。
まぁ久瀬くんはオリキャラなんであんまり出しゃばることなく・・・で次回ラストで終わらせていただきますね(^_^)
っていうか、最近考えてるお話にはオリキャラ率高いんですが・・・いいですかね??
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