スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Coffee Break  ~Act.Ⅲ~

新婚時代です☆




Coffee Break ~Act.Ⅲ~
   〈newly couple ver.〉







 「お帰りなさ~い、入江くん!」

 
 玄関のドアを開けるとパタパタと音を立てて琴子が迎えてくれる。


 「コーヒー淹れて。」


 おれは琴子に一言残し二階へ上がる。
 琴子は「用意するね。」とリビングへ戻っていった。
 荷物を寝室に置いてからリビングに入るとコーヒーの香りが部屋中に広がっている。


 「はい、どうぞ。」

 「ああ。」


 一口飲むと広がる苦み・・・と、甘み。
 落ち着く。
 気持ちが和らぐ。
 心が解けていく感覚に浸っていると、目の前に座っている琴子と目が合った。


 「なんだよ。」

 「ううん、なんでも。」


 そう言う琴子は自分のカフェオレを一口飲んでいた。
 カップを両手で大事そうに持ち、一口をゆっくり、ゆっくり飲んでいる。
 幼い子供が飲んでいるように見える仕草だが、琴子らしいと思う。


 「入江くんどうしたの?」

 
 そんなに見ていただろうか。
 琴子が心配そうにおれを見ていた。


 「おふくろは?」

 「おかあさんは買い物に出掛けてたよ。裕樹くんも荷物持ちで一緒に。」

 「あっそ。」


 おれは、ダイニングのイスから立ち上がり、リビングのソファに座り直した。
 琴子は突然おれが立ち上がり目の前からいなくなった事に驚いてか「え?え?」と軽くパニックになっていた。
 それがまた可笑しい。

 
 「琴子。」


 おれは横のソファをポンポンと軽く叩いた。
 すると不安でいっぱいだった琴子の目が急に輝きだしてカフェオレ片手に近寄ってきた。
 おれの隣に腰を下ろすと、ふんわり笑ってまたカフェオレを一口飲んでいる。
 おれも琴子に合わせてコーヒーを一口飲んだ。


 「入江くん、ブラックってやっぱり苦いよね。」

 「・・・まぁ、砂糖も何も入ってないしな。」

 「だよね。」


 そう言うとまた琴子はカフェオレを飲む。


 「なんだよ。」


 意味の分からない質問に『?』が頭の中で飛び交いながら琴子を見る。
 琴子はトン、とおれの肩に身体を預けながら呟いた。


 「ううん。ただあたしはブラックは苦くて飲めないし、その美味しさもよく分からないから。香りは好きなんだけど。入江くんは、どういう所が好きなのかなぁって。」


 なんだよそれ。
 
 子供の「ビールっておいしいの?」みたいな発言は。
 まぁ、確かに苦いよな。
 でもおれは琴子が淹れたコーヒー以外は美味いと感じたこと無いんだけど。
 琴子が淹れたコーヒーだけがほのかに甘く美味いと感じる。

 おれはコーヒーを一口含み、そのまま琴子に口づけた。


 「んっ・・・」


 コクン・・・と喉を通っていく音。
 しばらく琴子の唇を堪能したあと、ちゅっとわざと音を立てて離した。


 「苦かったか?」

 「う・・・ん・・・苦い/// たぶん。」


 きっと味なんて分からなかっただろう。
 真っ赤な顔をしておれを見つめている。
 キスだけなのにこの初々しい反応に思わず笑ってしまった。

 
 「も・・・もう! イジワルなんだからっ」


 大きな瞳をうるませてこっちを見ている。
 睨んでるんだろうけど。
 
 おれが口に手を当てながら琴子の髪を梳いていると、琴子が えへへ と笑みをこぼした。



 
 ―――いつまでも変わらない琴子。

 ―――いつまでも変わらない琴子のコーヒー。



 
 初めて琴子が淹れたコーヒーを飲んだあの日。
 この味が当たり前になっていくのだろうかと考えた。
 


 ―――朝起きたとき。

 ―――高校から帰ったとき。

 ―――大学から帰ったとき。



 いつの間にか琴子のコーヒーを飲む事が当たり前になっていた。

 一度はこのコーヒーを飲むことを諦めようとした。
 けれど、あの時諦めなくて良かったと心底思う。


 「琴子。」

 「ん?」

 「おまえのカフェオレも美味いか?」

 「うん。あたしのは入江くんのみたいに苦くはないけど、甘くてクリーミーでおいしいよ。 でも―――。」

 「でも?」

 「なんだろう・・・ 一人で飲む時と入江くんと一緒に飲む時とではおいしさが違うっていうか・・・。
  入江くんと二人で飲む方が幸せな分、味も甘みも全てがうんとおいしくなるんだろうね。」

 
 琴子はおれにカフェオレを差し出す。
 琴子のリップ付きの。
 おれはわざと琴子のリップ跡に口を付け一口飲んだ。

 ――甘ったるい。――

 そしてもう一口。
 そのまま琴子に口づけカフェオレを流す。
 また コクン― と喉が鳴っている。


 「どっちが美味い?」


 にやりとすると、また琴子が真っ赤になっている。
 息、してるよな?
 しばらく観察していると、ぎゅっとおれの腕を握ってきた。

 
 「両方/// でも今のほうが甘い気がした///」

 
 コーヒーもカフェオレもおれの気持ちと一緒に口づけで飲ませた。
 日頃言えない気持ちを乗せて。
 お前のように毎度毎度告白は出来ねぇから。

 
 いつものキスとはまた違う伝え方もいいかも知れない。
 真っ赤な顔で幸せそうにカフェオレを飲んでいる琴子を見て思った。


                           《END》






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「あまーーーーーーーい!!」って叫びたくなりますでしょうか?
 それとも「こんなの直樹じゃな~い!!」とちゃぶ台返しですかね・・・。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

narack

Author:narack
☆いらっしゃいませ☆
 こちらは「イタズラなkiss」の二次創作と管理人の好きな物etcをつぶやくblogです。

 イタズラなkissに関しましては管理人の勝手な想像、妄想によるものですので二次世界が苦手な方はご遠慮ください。
 また、作者様、出版社様、その他関係者様とは一切関係ありません。

 管理人の創作で少しでも笑顔になれたら嬉しいです。
 皆様がHAPPYになりますように。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
カウンター
現在のお客様
現在の閲覧者数:
☆リンク☆
Swinging Heart (ぴくもん様)
こんぺい糖と医学書 (千夜夢様)
*初恋* (miyaco様)
雪月野原~snowmoon~ゆづきのはら (ソウ様)
Embrasse-moi (えま様)
みぎての法則 (嘉村のと様)
真の欲深は世界を救う (美和様)
日々草子 (水玉様)
むじかくのブログ (むじかく様)
みんなのイタKISSブログ (ルン様)
Snow Blossom (ののの様)
『ハピ☆スマ』バナー
相互リンクはイタズラなKissの二次創作サイト様のみ受け付けております。 その他のサイト様とのリンクは受け付けておりませんのでご了承ください。 ☆イタキス創作家様へ☆ お持ち帰りの際は、ご連絡をお願いします。
☆新しくバナーを追加しました♪リンクされている方はお好きな方をお選びください☆
このブログをリンクに追加する
月別アーカイブ
最近のハマりもの♪
なんだか気になって仕方がない 『うたプリ♪』 ※曲が流れます♪        
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。